ベイビー・ラブ (ページ33)

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｢あ、起きた｣

身体に巻き付く腕の苦しさに目が覚めた。横を見れば樹先輩の顔が至近距離に迫ってる。

｢樹先輩……？なんで……？｣

｢何、忘れたの？｣

なら思い出させるけどって、耳をかぷりと食まれて全部思い出した。飲み会に樹先輩が迎えに来てくれて、私初めて樹先輩とキスをしたんだ。

思い出した瞬間恥ずかしくて顔がひたすら熱くなる。ブランケット潜ろうとしたけど、意地悪な樹先輩の手に捕まってしまった。

｢こーら、逃げんな｣

｢恥ずかしい～……｣

｢これからもっと恥ずかしいことすんのに？｣

｢……ひゃ……？｣

首をぺろりと舐められて変な声が出てしまう。やだやだってしても優しい拘束は解けなくて、今度はパクリと唇が食べられた。

昨日ほんの少しだけ触れたそれは、柔らかくて温かい。噛んだり舐めたり齧ったり。初めての感触に頭がクラクラする。

｢Aすぐ寝たから俺我慢したのよ？｣

｢…眠かったんだもん……｣

｢お子ちゃま｣

｢だって全部初めてだから……｣

キスされるのも、こんな風に抱き締められるのも、全部樹先輩が初めてなの。だから私は何にも知らないの。樹先輩が教えてくれないとわかんない。

そう言ってしまえば、マジかって樹先輩。重い？って不安に思ったけど、樹先輩の顔がなんだか嬉しそうだから大丈夫かな。

｢俺が全部教えてあげる｣

｢……うん｣

｢余所見すんなよ？｣

｢しないです………！｣

ぎゅーって抱き着いたら、同じ力で返された。

2人だけの部屋。カーテンから差し込む日差しの下で見つめ合えば、溶けそうなくらい甘いさを瞳に宿した樹先輩が口を開く。

｢俺の彼女になってください｣

｢……もうこんなにキスしたに聞くんですか｣

｢なんないの？｣

｢…やだ、なります……！｣

じゃあちゃんと言って樹先輩が私のおでこにキスを落とした。それだけで心臓が壊れそうなんだから、これから先が心配だよ。

｢樹先輩の、彼女になりたいです｣

｢よく出来ました｣

｢……子供扱い｣

｢子供にはこんなことしねぇわ｣

そう言って口付けてくる樹先輩に胸がきゅんとする。

南野A、18歳。
生まれて初めての彼氏が出来ました。