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先輩が連れてきてくれたのは海だった。
｢つめたい…！きもちい…！｣
｢あんま濡れんなよー｣
｢まかせてくださーい！｣
さすがに泳ぐわけには行かないからしゃがんで海に手を突っ込む。6月と言えど割と暑い気温のせいで、海水の温度が心地いい。
｢海好きなんで来れて嬉しいです｣
｢んじゃあ、もうちょい暑くなったら泳ぎに来る？｣
｢……樹先輩と？｣
｢俺以外いる？｣
わざとらしく後ろを向いてキョロキョロする樹先輩。そんな先輩に意地悪しないでください〜って言えば、後ろから羽交い締めにされる。
｢先輩苦しい…！てか近いです〜…｣
｢行くのか行かないのか言えって｣
｢そりゃあ……行きたいです、恥ずかしいけど｣
幼児体型だもんなって超絶余計なお世話。でも、先輩とまた海に来れたらいいなって思う。
その時は、私と樹先輩の関係はどうなっているかな。まだ先輩と後輩のままかな。変わってたらいいなと、思う半面このままでもいいとも思う。こんなに近くに居れて構ってくれるんだもん。今はそれだけで幸せ。
｢あっちの方に雑貨屋があんだよ｣
｢え、行きたい！｣
｢A好きそうだもんな｣
｢よくわかってますねぇ｣
｢わかるよ、Aのことだかんな｣
ほら、行こうぜって自然に手を引くから、恥ずかしいって思う前に2人の指が絡み合う。
砂浜を抜けてお目当ての雑貨屋の中でも手は繋がれたまま。
｢これ可愛い〜｣
｢猫付いてる｣
｢めっちゃ良くないですか？｣
首元にネックレスを当てて樹先輩に見せれば似合うってはにかまれて胸がきゅーんってした。
樹先輩に褒められたし買っちゃおうかな、なんて思っていれば欲しいの？って樹先輩に聞かれる。
｢樹先輩に似合うって言われたから｣
｢何でも俺基準なのな｣
だって樹先輩に可愛いって思って欲しいんですもんって言えば、やっぱりAやばいわ〜って頭をよしよしされる。やばいって何ですかって私の言葉は全無視で樹先輩はネックレスを手に取ってお店の奥の方へ向かう。
え、まってそっちレジじゃない？
｢樹先輩……！｣
｢ん？｣
｢あの、それ、｣
｢これは俺からのプレゼント｣
樹先輩を追いかけた先で鼻先をちょんとつつかれたら顔が一気に熱くなった。
｢首輪、つけとかないとお前他の奴についていそうだから｣
毎日つけろよって冗談混じりの樹先輩の笑顔が世界一大好きだと思う。
ねえほんとこんなことされたら期待しちゃうよ。次に海に行く時は私、先輩の恋人になれていますか？
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2021年2月4日 17時
