ベイビー・ラブ (ページ1)

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ep.1 一目惚れってやつページ1

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髪を巻いてメイクをすれば、人生変わると思ってた。

｢ねえ～ベイビーちゃんどこ居るの～？｣

｢居るじゃん目の前に｣

｢うっそ見えなかった｣

｢んなわけないし。てかその変なあだ名やめない？｣

｢えーせっかく大我先輩からもらった名前じゃん｣

｢サークル中以外はやだ｣

自分の胸元に貼り付けられるベイビーの名札に首を傾げる。

なんでこうなった？

にやにやしながら私を見下ろす長身の彼女は今日もオールブラックコーデを着こなしてるのに、私が大学デビュー用に買ったAラインのスカートとワンショルのニットは｢似合わない｣の一言でもう既にタンスの中。

しかも新歓で付いた不名誉なあだ名が、私の描いていた大学生活を脅かしている。

大学生になって1ヶ月。未だに私、大学デビューができていない。

｢はいはい、ごめんね？｣

｢…マキちゃん軽い｣

｢怒ってたら置いてっちゃうぞ｣

｢やだ、待って｣

サークルのご飯会ってこうも頻繁なものなのか。週に2回のサークル後に毎回疑問に思うけど、今日も今日とて駅前の居酒屋でご飯らしい。

1年は酒飲むなよって、そんなの守ってる人の方が少ないご飯会という名の飲み会で私は肩身の狭い思いをする。

ほんとは行きたくない。でもマキちゃんが行くから行く。今現在唯一心を許している彼女と過ごす時間は大事だと思うから。

だから今日も、浪人生で1個歳上のマキちゃんはハイボールなんか飲んじゃってるけど、私は烏龍茶を片手に席についてた。そしたら先輩達が近寄ってきて1年飲んでるか～って。

いやもう飲ませる気満々じゃんね？

たぶん悪い人たちではないのは分かっているから愛想笑いを浮かべて乗り切る。そしたら不意に肩がトントンて叩かれて、横を見たらサークルで何回か見かけた顔があった。

｢健全な子発見｣

｢えと……？｣

｢新歓で変なあだ名付けられてた子でしょ？｣

｢あ、はい…｣

｢本名は？｣

｢…南野Aです……？｣

｢いや、ビビりすぎっしょ｣

ふはって笑うこの人は、確か1個上の先輩だった。彼の胸元の名札にはワカメの文字。

全然本名が分からない。

名前教えてくださいって言うのは失礼だし、どうしたらいいものかわからなくて俯いていたらようやく笑いの引っ込んだ先輩が私の腕を引いた。