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いつも可愛い後輩なのに、ふと自分の知らない顔を見ると戸惑ってしまう。きっと、特別近くに感じていたから。
｢ねえ、北斗、｣
｢…なんすか｣
｢何考えてるのか、私にも教えてよ｣
北斗が後輩になってから1年と半年、私たち色んな話をしてきたじゃない。
今さら隠し事なんて嫌だよ。文句があるなら言いなさいよ。
私が1番信頼してる後輩はあんたなんだから、あんたも私を信頼しなさいよ。
｢北斗｣
もう1回、北斗の目を見て促せば、気まずそうな表情を浮かべた彼は嫌そうにも口を開いた。
｢だって、｣
｢だって？｣
｢長谷川先生、最近田中田中ってうるせえから｣
｢え…、と、田中くん？｣
思いがけない名前に戸惑えば、苦い声がまだ続く。
｢なんだろ、田中の話は聞き飽きたし、俺は長谷川先生と田中の話をしたい訳じゃねえし｣
｢北斗…｣
｢俺はあんたと飯食うの好きだけど、あんたと田中の話はしたくないんすよね、なんか｣
子供っぽいっすよね、なんて笑う北斗は、ちょっと傷ついた顔をしていた。そして、そんな顔をさせているのは、
私だ。
｢ごめん、北斗、｣
｢違うんすよ、長谷川先生のせいじゃない。俺の問題だし｣
｢ううん、でも、私最近田中くんのことばっかだったね｣
推しで可愛い可愛いって思って、そればっかだった。だから、ちゃんと後輩のこと、他の生徒のこと、考えれてなかったのかもしれない。
｢やっぱり、ごめん｣
ご飯を食べ終えて、二人きりの帰路の中。何度目かのごめんを呟けば、あったかい手のひらがポンと頭に落ちる。
｢だからもう謝るなって｣
｢うぅ、だって、不機嫌な北斗怖かったし〜｣
｢それは俺の事責めてるってこと？｣
｢ち、違う！｣
｢ほんとかよ｣
ふふって笑う悪戯っぽい顔は、仲直りが出来たって証。
良かった、北斗が元に戻って。そんな事を思うくらいは、北斗と話せない毎日は結構辛かったのかも。
｢ねえ、私、けっこう北斗のことも考えてるよ｣
これはささやかな言い訳。田中くんのことだけじゃなくて、北斗のことも北斗と一緒に担当している里茉ちゃんのことも、他の生徒のことも考えてるよって伝えたいから。
｢…ほんと、そーゆうとこだよ｣
｢え、何？｣
｢長谷川には教えない｣
｢おい、タメ口！｣
ちょっと顔を赤くした北斗がスタスタと歩いていく。
今日は寒いからかな、なんて思いながら北斗を追いかけるこんな日常が私は大好きなのだ。
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sail(プロフ) - ゆーみんさん» コメントありがとうございます！キュンキュンがお届けできて嬉しいです！ (2020年11月29日 16時) (
レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年11月29日 15時) (レス) id: 505bb2abee (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» タイトルの意味にまで気付いていただけてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします！ (2020年11月13日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初は間違いなく樹の目線だったタイトルが、最後の最後で長谷川先生のタイトルになったこと、お洒落すぎました。素敵なお話をありがとうございました。次回作も楽しみにしています！ (2020年11月13日 10時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます。想いあってたのにすれ違った2人を書いていて、私も切なくなりました、、、これからも更新頑張ります！ありがとうございます！ (2020年11月5日 19時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2020年10月23日 11時
