fin. ページ43
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大好きだから、大事にしたい。そう言われたのは初めて樹が私の家に来た日。その意味がわからないほど私も無知じゃないから、その言葉に頷いた。
そして今も、樹の指先はこんなにも甘いのに彼は本当の意味で私に触れてこない。それがもどかしいと思うようになったのはいつからだろう。
｢あ、涙でてる｣
｢…え｣
｢気持ちよかった？｣
｢…ば、ばか！｣
素直に頷けないのはこれも年上のコンプレックスを感じているから。早く触れて欲しいのに、言えない。なんだか慣れてる彼に言うのは気が引けるから。
でもさ、そんなのずっと気持ちいいに決まってるよ。樹に触られるだけで、身体が溶けてしまいそうなくらい熱い。
だから早く越えたいの、この線を。
生徒から恋人への一線を乗り越えちゃった彼と、結ばれたいの。だってこんなにも私は樹を求めてる。
｢まだ、Aちゃんには早かったかな〜｣
余裕な笑みを浮かべて腕を解く彼が欲しかった。
だから今度は私から、奪うよ。
｢ね、もう樹のにしてよ｣
自分からキスをするのは2回目。恥ずかしいけど、それ以上に樹に触れたかった。
キスをして抱き締めて、彼のものになりたいの。いつも素直じゃないし大人ぶってるけど、私だってこんなに熱い衝動を抱えてる。
｢A、ちゃん…？｣
｢Aでいい。Aって呼んで｣
｢…A？｣
｢うん。…私はもう、樹のものだから｣
だから、ねえって囁けば、いつもよりうんと熱いキスの雨。いつの間にか樹を見上げる体勢になっていた。普段より潤んだ樹の瞳が余裕のなさを伝えてる。
｢もうさ、我慢できねえよ？｣
初めて素肌をなぞる指先は、熱かった。じんわりと火照る身体は、私も知らない私。樹だけが知ってる、私。
｢ね、俺のこと最後の男にして？｣
｢そんなの、ずっと、樹だけだよ…｣
｢あー…やば、好きすぎる｣
唇を食べられたら、もう何も考えられない。
きっとこれが、線を越える合図なんだ。
オーバー・ザ・ライン fin.
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sail(プロフ) - ゆーみんさん» コメントありがとうございます！キュンキュンがお届けできて嬉しいです！ (2020年11月29日 16時) (
レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年11月29日 15時) (レス) id: 505bb2abee (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» タイトルの意味にまで気付いていただけてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします！ (2020年11月13日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初は間違いなく樹の目線だったタイトルが、最後の最後で長谷川先生のタイトルになったこと、お洒落すぎました。素敵なお話をありがとうございました。次回作も楽しみにしています！ (2020年11月13日 10時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます。想いあってたのにすれ違った2人を書いていて、私も切なくなりました、、、これからも更新頑張ります！ありがとうございます！ (2020年11月5日 19時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2020年10月23日 11時
