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2人でお店を出てたら、外出よって田中くんがエレベーターのボタンを押した。

すぐに開いた鉄の箱に飛び乗れば、我慢出来なかったように伸びた腕に抱き締められる。



「A先生はいつもずるいよ」



余裕のない声が、頬に感じる吐息の熱さが、彼の気持ちを痛いくらいに教えてくれた。

何よ、もう。てっきり付き合う気がなくなっちゃったのかと思ったじゃない。

緩んだ心から不安が漏れれば、そんな訳ないってよりいっそう私を抱き締める腕に力がこもる。



「春期講習で先生忙しそうだったからさ、終わってからちゃんと言おうと思ってたんだって」

「…そんなの、待てなかったんだもん」

「ねえだからそういう所!」



そういう所が何?って聞いたら、決まってんじゃんって田中くん。わかんないよって言ったら、あーもうって少し身体を離した彼は真っ赤な顔して呟く。

恥ずかしそうに、でもちょっと嬉しそうに。そういう所に惚れちゃったのって。



「田中くん、可愛い…」

「先生の方がずっと可愛いんだけど?」

「…揶揄わないで」

「あは、照れてて可愛い」

「…うるさいよ」



トンって薄い胸に突いた私の拳は、熱い手のひらに包まれた。

そしてゆっくり解かれた指が絡み合ったなら、きっとそれが今までの関係が終わる合図。



「好きだよ」

「うん…」

「先生は?」

「田中くんが好き」

「あともう一押し」

「樹が、すき」



最後の好きは声になったのかならなかったのか分からなかった。でもそんなの唇に触れた熱に比べたらどうでもいい事。

数秒くっついては離れて甘噛みされて、ねえもうギブって胸を叩けば余裕しゃくしゃくな恋人と目が合う。



「…なんか慣れてんのむかつく」

「さあなんのこと?」

「も、嫌い」

「うそうそ、これからはAだけだから」



ほんのり潤んだ瞳の中には真剣さと甘さが滲んでた。

ずるいって抗議をすればお互い様ってまた唇を塞がれた。




3つも年下で、ついこないだまでアルバイト先の塾の教え子だった男の子に振り回される。

でもそれも悪くないって思えるの。だって私、恋してるから。


だからさ、





「ねえ樹、こっち向いて」





その無防備な唇、今度は私が奪ってあげる。







fin.

あとがき→←◎



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設定タグ:SixTONES , 田中樹 , 松村北斗   
作品ジャンル:恋愛
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sail(プロフ) - ゆーみんさん» コメントありがとうございます!キュンキュンがお届けできて嬉しいです! (2020年11月29日 16時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - めっちゃキュンキュンしました! (2020年11月29日 15時) (レス) id: 505bb2abee (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» タイトルの意味にまで気付いていただけてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします! (2020年11月13日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます!最初は間違いなく樹の目線だったタイトルが、最後の最後で長谷川先生のタイトルになったこと、お洒落すぎました。素敵なお話をありがとうございました。次回作も楽しみにしています! (2020年11月13日 10時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます。想いあってたのにすれ違った2人を書いていて、私も切なくなりました、、、これからも更新頑張ります!ありがとうございます! (2020年11月5日 19時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:sail | 作者ホームページ:http://ma-no homepage  
作成日時:2020年10月23日 11時

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