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｢…北斗は、北斗だよ｣
絞り出した声はあまりにも小さくて、こんな静かな部屋でなければ聴こえなかったと思う。
｢私にとって北斗は1番大事で特別な後輩で、あの子とは違うの｣
田中くんとした賭けのことも話した。こんなに北斗が苦しそうなら、全部話してしまおうと思った。田中くんはあと半年で巣立って行くけど、北斗はこれからもずっと隣にいる存在なんだから。
出会った頃は無愛想で取っ付きにくかったけど、今はもう北斗が誰よりも気遣い屋さんで優しいってこと知っている。
わたしは、そんな北斗が後輩として大好きなのだ。
｢ねえ、わかってくれた？｣
私からも北斗の背中に手を回して、ぎゅっと抱きしめた。こんなに一緒に居たのに、今が1番近く北斗を感じる。
しばらく抱き合っていれば、北斗がAって私の名前を呼んだ。何って聞いたら、何でもないって笑う。
なんだ、ちょっと元気出てきたじゃん。
｢…これから、名前で呼んでいい？｣
｢うん、いーよ｣
｢…今日帰んないでくれる？｣
｢北斗が寝るまでそばにいるから｣
大丈夫よって言ったら、回されていた腕が外された。ゼリー食わせてって可愛い後輩の顔で北斗が言う。
｢はいはい、スプーン取ってくるね｣
｢ありがと｣
｢あーん、してあげようか？｣
｢、いらねえよ｣
目元を赤くして照れる北斗が可愛い。ほんとに、あんたが世界一の後輩だよ。
｢Aって、飯とか作れるの？｣
｢作れたら毎日あんたと外食しないよ｣
｢じゃあ、今日のお礼に今度何か作ってやるよ｣
｢え、ほんと？｣
他愛もない話をして、優しい時間はゆっくり過ぎた。ゼリーをお腹に入れた北斗は薬も飲んでだいぶ熱が下がったみたい。
｢おやすみ、北斗｣
北斗が眠りに落ちる前に握られた右手は熱いけど、今日はそれに気づかない振りをしてしまおう。
だって気付いてしまえば、この心地よい関係が終わってしまう気がしたから。
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sail(プロフ) - ゆーみんさん» コメントありがとうございます！キュンキュンがお届けできて嬉しいです！ (2020年11月29日 16時) (
レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年11月29日 15時) (レス) id: 505bb2abee (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» タイトルの意味にまで気付いていただけてとても嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします！ (2020年11月13日 13時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
早瀬(プロフ) - 完結おめでとうございます！最初は間違いなく樹の目線だったタイトルが、最後の最後で長谷川先生のタイトルになったこと、お洒落すぎました。素敵なお話をありがとうございました。次回作も楽しみにしています！ (2020年11月13日 10時) (レス) id: d923da9d53 (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 早瀬さん» コメントありがとうございます。想いあってたのにすれ違った2人を書いていて、私も切なくなりました、、、これからも更新頑張ります！ありがとうございます！ (2020年11月5日 19時) (レス) id: 68c0c1ca67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sail
| 作者ホームページ：http://ma-no homepage
作成日時：2020年10月23日 11時
