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side_hokuto
夜、俺は樹の部屋で樹と寝る準備を進めていた。
布団を敷き、枕元に着替えを用意する。
そんな時、"コンコン"と扉がノックされ、
返事を返す間もなく雑に扉は開いた。
A｢おやすみ｣
そこに立っていたAは、
風呂上がりで髪が濡れていた。
樹｢おやすみ〜｣
｢…おやすみなさい｣
少しドキッとした俺の横で、
樹は慣れたように返事を返す。
Aもそれを聞くと、
すぐに自分の部屋へと戻って行った。
｢これっていつもなの？｣
樹｢へ？、うん｣
毎晩Aと顔を合わせて
"おやすみ"を言えることが羨ましい。
そして、それを当たり前にしている樹が、
…少し憎らしい。
…
電気を消し、
樹はベッドに、俺は布団に寝転がる。
幼い頃から樹とは何度もお泊まりをしてきたせいか、そこには、"修学旅行の夜"のようなドキドキはない。
それでもやっぱり、すぐに眠ることはできず、
俺はなんとなく樹との会話を探す。
｢なぁ…｣
樹｢…んー？｣
｢……、なんでもない｣
樹｢なんだよそれ…｣
とは言いつつも、樹は俺の言葉を待っていた。
｢…俺さ、好きなんだよ｣
樹｢………ありがとう｣
｢馬鹿ちげぇーよ、Aのことだよ｣
樹｢…じょーだん、わかってるよ｣
空気を読んだように、
樹の声は真面目なものに変わる。
｢好きで、大好きで…だから、
もしAがいなくなったら…って考えると怖い｣
月明かりのみの部屋で、お互いの顔が見えないから、小っ恥ずかしい言葉が次々と口から零れてしまう。
樹｢…いなくなんねぇよ、お前、言ってたじゃん、
"Aは俺の運命の人だ"って…
運命の人は、そう簡単に逃がしちゃダメだろ｣
｢…あぁ、そうだな｣
樹の言葉は力強くて、男の俺でも、かっこいいな…、なんて思えるほどに男らしかった。
樹、頼むから…Aのことを好きにならないでくれ。
俺はお前に、勝てる自信が無いんだ。
.
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
