23.（side_hokuto~ ページ23
side_hokuto
月曜日の朝、
教室で本を読んでいると樹が登校してきた。
樹｢おはよ｣
｢おはよう｣
樹は俺の前の席にガラガラとうるさく椅子の音を立てて座る。
｢どう？Aの家での生活は｣
樹｢まだまだわかんねぇよ｣
それもそうだ、まだ越して1日だった。
そんなことより、俺は樹に聞きたいことがある。
｢なぁ…｣
と話しかけた途端、教室にチャイムが鳴り響いた。
樹｢ん？なに？？｣
｢あ、いや…昼休みでいい｣
俺はいつも、タイミングが悪い。
…
昼休み、
俺と樹はひとつの机を挟んで向かい合って弁当を食べる。
｢弁当だ…｣
樹が弁当を持っていた。
いつもはコンビニのパンなのに。
樹｢あぁ、おばさんが作ってくれてさ……
うわぁ！うまそう！！｣
Aのお母さんが作ってくれた弁当をバクバク食べ始めた。
いいなぁ…
樹｢あ、そういえば、話って何？｣
モグモグしながら樹は俺に尋ねる。
｢いや、大したことじゃないんだけどさ…｣
俺は一呼吸置いて、言葉を発する。
｢デートって、どこに行けばいいの？｣
樹｢……は？｣
樹は"ポカーン"という言葉がぴったりな顔をした。
俺、変なこと聞いたかな？
樹｢お前ら、デートした事ないの？｣
｢放課後一緒に帰ったり…
あ、休みの日に勉強を教えに行ったりするけど｣
樹｢それはデートなのか？｣
｢…｣
恋愛に至っては、俺より樹の方がよほど経験豊富だ。
だから、今までも色々アドバイスが欲しいと思っていた。
樹｢まぁ、俺だったら…ゲーセンかな｣
｢Aっぽくない、却下。｣
樹｢じゃあ、カラオケ｣
｢俺あんまりカラオケ好きじゃない、却下。｣
樹｢…なら、ラブホ｣
｢もういい｣
椅子から立ち上がり、次の授業の準備をしようとした俺を樹が引留める。
樹｢じょーだんだよ、じょーだん！｣
仕方なく俺は椅子に座り直した。
樹｢もうさ、北斗が行きたいとこに連れていけば？｣
｢え？｣
樹｢その方が気楽で、お互い楽しめるっしょ｣
まぁ…確かにそうかも。
俺の行きたいところか…何個か頭に思い浮かんだ。
放課後までに、決めておかなくては…
.
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年10月1日 22時
