◆.｡52 ページ5
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｢…｣
雨芽｢多分、私のこと全部聞いたら、A引いちゃうよ？｣
｢…雨芽ちゃん｣
ビックリするくらい
悲しそうに笑うから。
そう言いながら
震えてるから。
私はそんな雨芽ちゃんを
知りたいと思った。
今まで誰にも言えずに苦しんでいたことを
私にも共有させてほしいと思った。
｢…大丈夫、引かないよ｣
雨芽｢…｣
｢何を聞いても、雨芽ちゃんの一番の親友っていう椅子、他の人に譲ったりしないから｣
雨芽｢…A｣
ありがとうって
ぽろぽろと溢れ出した涙が綺麗で
こんな時でも私は
雨芽ちゃんに見蕩れてしまっていた。
雨芽｢…昔智くんの前で倒れてから全然一緒に遊んでくれなくなって、幼いなりに、それがすごくショックだったの｣
｢…うん｣
雨芽｢だけどその後、親が心配してあんまり外に出れなくなった時に、毎日ポストに画用紙が入ってて｣
｢…画用紙？｣
雨芽｢…うん、智くんが描いた絵｣
｢…｣
雨芽｢どれもキレイでワクワクする絵ばかりで、私は毎日智くんの絵が届くのが楽しみになってた…外に出られなくてもその絵を見るだけで満足だったの｣
雨芽｢だけど、元気になって外に出られるようになるとぱったり、智くんの絵が届くことはなくなって、会いに行って話しかけようとしても、交わされるって言うか…｣
｢…｣
雨芽｢…智くんと目が合うことはなかった｣
｢今の今までずっとだよ｣って
首を傾げて、自嘲気味に笑う雨芽ちゃん。
雨芽｢…それなのに私、智くんを追いかけてこんな所まで来ちゃって…馬鹿みたいよね｣
｢…そんなことない｣
雨芽｢……吹奏楽部もね、不純な動機で入ったの｣
｢…え？｣
雨芽｢この学校、吹奏楽部が強くて有名だったから、私もそこに入って上手くなったら注目されて、智くんが見てくれるかなって｣
｢…｣
雨芽｢回りくど過ぎて、自分でも笑っちゃう…真剣にやってる人にも申し訳ないしね｣
…違う。
そうじゃないよ。
だって雨芽ちゃんはいつだって
真剣だった。
私誰よりも近くで見てきたんだよ？
入った理由がどうであれ
雨芽ちゃんはちゃんと、吹奏楽を楽しんでた。
｢…申し訳なく思う必要なんかないよ、絶対｣
雨芽｢…A｣
｢ここまで努力し続けてきたことが答えだから｣
そう、雨芽ちゃんに向けた言葉は
ブーメランみたいに
自分の心に重くのしかかっていた。
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skomiya0617(プロフ) - 更新頑張ってください (2020年6月14日 13時) (
レス) id: 8e4b334675 (このIDを非表示/違反報告)
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