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90* 君を待つ雨の夜 ページ42

手を払われた感触に目を見開いて一瞬たじろいでしまったA。
その隙に総悟はナイフの様に彼女に言葉を刺す。


「気分悪ィんでさァ…お前と話してると」

「っ、本心じゃない」

「テメーが勝手に決めんじゃねぇや。お前のその喧しいのにゃ疲れやした」


諦めずにまた向かってきてその小さな震える手で総悟の手を握るのだ。

__俺を、怖がってんじゃねェか。…んのに、何で。


「……総悟…私の事……大好きでしょ、」


そんな泣きそうな顔すんな。お前もよっぽど俺の事好きじゃねェか。…俺の方が好きだ。お前にはお見通しだ。


「こうまで言ってわかんねェのかィ。飽きたんでさァお前の餓鬼みてェな所も忙しねェ所も
お前に振り回されるのはもううんざりでィ」

「何でそんな事言えるの?…夏祭りは?」

「旦那とでも行きなせェ」

「やだ!! 総悟とじゃ無きゃやだ…」


ごめんな。…A。お前が好きだ。
旦那に依頼した俺が悪い。
けどあの人のお陰でAを守れた。…俺は旦那に…お前を救ったっていうデケェ借りが出来たんでさァ。


「……夜は仕事でさァ。じゃあな」

「じゃあ仕事終わるまで待ってる! 昨日の待ち合わせの所で!待つ事には慣れてるから!」


冷たい言葉で踵を返す総悟にAは半ば叫ぶ様に言葉を放つ。
それに応える事も無く総悟は彼女から遠ざかるのだ。



.


「よっAちゃん!どうした? 元気ねー?」

「銀ちゃん。…お腹すいちゃって」


夕暮れ。待ち伏せしてたかの様に銀髪は彼女の前に現れた。
彼女の様子に銀時は何ら変わらない死んだ目でAを見る。


「……そんなら俺と祭でも行く?」

「…え、」

「腹減ってんだろ? 屋台でも行かね?」

「…ごめん銀ちゃん。総悟と約束してるの!」


増えていく人混み。銀時の最後の言葉も聞かず彼女は人混みを態と選んで銀時から逃げる様に待ち合わせ場所に走った。


「……っは、ぁ」


時刻は19時を回る。何時もならまだ明るい夏の夜は何だか雲行きが怪しかった。


「……やだな……雨降りそう」


ごろろ、彼女がそう呟いた瞬間、咳を切った様に空からザァアとにわか雨が降り出す。

その雨は彼女の頬も冷たく濡らして行く。


「最悪…晴れてよ……」


小さな呟きは雨に流されて消えていく。
彼女は唇を噛み締めて騒がしく走る人混みの中一人待ち合わせ場所で佇んでいた。


「……待つ事には…、慣れてるから、大丈夫」




その日、総悟は来なかった。

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- うぇ!? なんですかこの作品!…………神じゃないですか!! 作者様神ですか!? この神作品を作ってくださって有難うございます!いつまででも更新待ってます! (2018年10月3日 19時) (レス) id: 6ebd955238 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - 主人公とキャラの駆け引きがとっても自分のタイプです!これからも応援しています! (2018年4月3日 22時) (レス) id: 2e9a8055ee (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - これからも頑張ってください! (2018年2月10日 12時) (レス) id: 5460fa1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 総悟大好きなので、すごく面白いです!これからも更新がんばってください! (2018年1月31日 20時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田くんオチですか。…沖田くんオチって意外と人気あるんですよねコレが。こんな駄作者な私でも100hitも行けるくらい。沖田くんはやっぱ最高だった。続き待ってます。と言っても最後のセリフは完全に襲う気マンマンだけど。 (2018年1月8日 6時) (レス) id: 2ca11f0d25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2017年10月29日 20時

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