88* 阿保は言われても気づかない ページ40
「それで総悟はいつからそんな真面目になったんですか?」
「今日の朝からに決まってんだろ。死人みてェな目してたが」
「それって私のせいなの?」
「知るか」
副長室の煎餅をあるだけ出してぼりぼり遠慮のかけらも無く食い尽くす少女。
土方もいつかの沖田同様チャイナ娘を思い出すものがあったが…幾分量は彼女の方がずっとマシなので餌付けをしている感覚に陥った。
「……昨日の夜、突然言ったの、総悟が
用事があるから先帰れって」
「そりゃ本当に用事があったんじゃねェの?
現にあいつ昨日帰ってくんの遅かったし」
「でも…突然だよ。その数秒前まで一緒に食べる夕食の話してたのに…銀ちゃんが来て突然」
「……まてお前今なんて言った」
まぁどうせただの痴話喧嘩だろ、と見積もりながら土方も煎餅を頬張りながら適当に聞き流していると、珍妙な名が聞こえて思わずその手を止める。
「え…銀ちゃんが来てから、突然」
「何故お前らの痴話喧嘩に其奴が出てくる」
「何か銀ちゃんは偶々そこにいたってだけだよ。
取り立てがどうちゃらって言ってたけど…あんま覚えてない」
「……匂うな」
「エッどちらかとニコチン臭いのは十四郎さんだけど」
「お前そういう所は彼氏に感化されんでよろしい」
とは言いつつ土方はその突然登場した取り立て野郎の名前に煙草を蒸しながら考えた。
…大体彼奴が関与している時はろくな事が起きない。
「彼奴が動くのは大抵モノのやり取りがあんだよ」
「モノの…? ?どういう事?」
「何のために彼奴が万事屋語ってんだ。
あの屑は基本報酬か金が無きゃ腰を上げねェ男だろ。知らねェか?」
「……いや、死ぬほど知ってる」
まぁ現に物理的に彼女の前世は大事な銀魂の電子漫画と一緒にお暇しているぐらいだからこの表現はあながち間違ってはいない。
「そんな彼奴が取り立てって事ァ…総悟は何か依頼でもしてたんじゃねェか」
「…! 十四郎さんすごい! 何でそんな事わかるの!」
「いやお前がアホなだけだと思ううん」
「アホじゃないけどありがとう十四郎さん!」
ニコチン塗れのその黒い隊服に飛びかかって土方の首に一瞬回された手。
一瞬何をされたか分からなかったが、抱きつかれたと分かった瞬間には彼女は立ち上がって「じゃーね!」と廊下に消えていった。
「………やっぱ彼奴アホだわ」
そう呟きながらも、一瞬くらっと来た甘い香りを味わう様に、土方は咥えていた煙草を灰皿へ押しつぶした。
89* 痴話喧嘩というには乏しすぎる→←87* もしかして避けられてる?
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桃 - うぇ!? なんですかこの作品!…………神じゃないですか!! 作者様神ですか!? この神作品を作ってくださって有難うございます!いつまででも更新待ってます! (2018年10月3日 19時) (レス) id: 6ebd955238 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - 主人公とキャラの駆け引きがとっても自分のタイプです!これからも応援しています! (2018年4月3日 22時) (レス) id: 2e9a8055ee (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - これからも頑張ってください! (2018年2月10日 12時) (レス) id: 5460fa1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 総悟大好きなので、すごく面白いです!これからも更新がんばってください! (2018年1月31日 20時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田くんオチですか。…沖田くんオチって意外と人気あるんですよねコレが。こんな駄作者な私でも100hitも行けるくらい。沖田くんはやっぱ最高だった。続き待ってます。と言っても最後のセリフは完全に襲う気マンマンだけど。 (2018年1月8日 6時) (レス) id: 2ca11f0d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2017年10月29日 20時