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79* 精一杯の虚勢は ページ31

「銀さん、一体どうしたんです?
突然帰るなんて」


「しつけーな。用事思い出したっつってんだろ」



今日の納涼祭、どうせあいつらも行くんだろうなと思って、気まぐれにふらっと立ち寄った。

もしあいつらがいたら盛大に邪魔してやろうって魂胆だった。



「銀ちゃん、わたあめ食べたいアル!」


「新八と2人で食べろ。俺は帰ェる」


「ちょっと…銀さん!」



たらたら喋ってるはずなのに、無意識に速くなる足。

分かってた筈だった。
アイツが優しいのをいい事に、いつか振り向いてくれるだろうって思ってた。



「銀さん、本当に何があったんですか?」


「……別に、気まぐれだ」



――…何だよ、あの顔。
俺が触れても、あんな顔しねェくせに。


あれだけの人混みで、Aを見つけた。
息が止まるほど美人で、その女は輝いてたから。



沖田と居るなんて分かってた。
それでも、あいつが俺を見て、俺の名前を呼んで、嬉しそうに笑う。……それが見たい。



「銀ちゃん〜お金無くなっちゃったアル
お小遣い前乗せでちょうだい!」


「……、ほらよ。好きに遊んでこい」


「やったあ!」


「ぎ、銀さんがお金をあげた……」



何でこんなに苛ついてんだ。
何で女1人に振り回されてんだ。
 何で……俺、あいつが。



「――好きなら奪えばいいだろ。銀時よォ」


「……! お前、何でいる」



随分静かになった道に咲く葉桜の木に寄りかかった男。

月がそいつを怪しく照らす。

――…高杉。



「そりゃァ祭やってると聞きゃ参加しなきゃなァ」


「……もしかしてお前、A狙ってんのか」


「あァ。あの女、不思議な力を持ってるらしいなァ
利用すりゃこの世界を壊す野望も近くなる」


「……あいつには捻くれた用心棒が付き纏ってるから攻略は難しいんじゃねェの?」


「……まァ。てめェもそんだけ苦労してる位ェだもんなァ」


「……俺がいつあいつを好きだって?
寝言はいびきかいてから言えよ」



胸糞悪くなってその場を離れる。

踵を返す直前のあいつの顔は、憎らしいほど不気味に笑ってた。


――あーくそ、イラつく。

……俺のもんになればいいのに。






「――…」



ざあ、



夏の季節に珍しい、一瞬だが強く涼しい風。


煙管を咥えた高杉が、顎を上げて煙を月に蒸した。




「素直になっちゃいねェのは……俺の方か」




 その声は、神にも届かず。

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- うぇ!? なんですかこの作品!…………神じゃないですか!! 作者様神ですか!? この神作品を作ってくださって有難うございます!いつまででも更新待ってます! (2018年10月3日 19時) (レス) id: 6ebd955238 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - 主人公とキャラの駆け引きがとっても自分のタイプです!これからも応援しています! (2018年4月3日 22時) (レス) id: 2e9a8055ee (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - これからも頑張ってください! (2018年2月10日 12時) (レス) id: 5460fa1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 総悟大好きなので、すごく面白いです!これからも更新がんばってください! (2018年1月31日 20時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田くんオチですか。…沖田くんオチって意外と人気あるんですよねコレが。こんな駄作者な私でも100hitも行けるくらい。沖田くんはやっぱ最高だった。続き待ってます。と言っても最後のセリフは完全に襲う気マンマンだけど。 (2018年1月8日 6時) (レス) id: 2ca11f0d25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2017年10月29日 20時

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