76* 策略には乗らない ページ28
「……どうかしやした? A」
「A?」
「……!」
暑く無いはずの彼女の額から汗が垂れた。
ゆっくりといつものポーカーフェイスで振り返った総悟に見下ろされ、彼女の心臓はばくばくと鳴り止まない。
「――……神楽ちゃん、わがままでごめん。
仲良く、なんて言ったけど、撤回して」
「どういう事アルか?」
「……総悟の一番は……
私が、いい」
「―……ハァ、お前本当……」
神楽を、揺れる瞳だが、しっかりと見据えたA。
しっかりと、その小さな手は総悟の手を握って。
勘弁してくれ、と総悟が頭を抱えた。
神楽はなんだか不満そうだ。
「悪ィなクソチャイナ、そういう事だ
Aは俺のことが大好きなんでィ」
「……え?」
「今はテメェの手柄でいいネ。ただし私の方が許される事は多いという事をゆめゆめ忘れるんじゃないアル」
「……ちょっとまってどういう事」
さっきしゃがみこんで頭を抱えていた筈の男は、もう既に立ち直って、半泣き状態の彼女の肩を抱いて踏ん反り返っている。
そしてあんなに無邪気に笑っていた筈の神楽も、ガルルと総悟に牙を向いて、既に野生の動物に化していた。
「お前が余りにも無責任な発言しやがったから仕返しでィ。
本当にチャイナ娘と仲良くなったらどんな反応するかと思ったが…予想以上に可愛い反応してくれたんでありがてェ」
「……やったな総悟。はめやがったな」
「いやまだはめてやせんぜ。今日の夜にガポガポハメまくろうと……」
「違うそっちの話じゃない!!」
まんまと策略に乗せられたと気づいた頃には、もう当人はご機嫌で彼女の肩を離そうとはしなかった。
取り残された不機嫌そうな神楽。
それじゃ、と言って踵を返したのだった。
「酢昆布に助けられたと思えよドS馬鹿
今回だけは見逃してやる」
「待って神楽ちゃん知ってたの、ていうか酢昆布で買われるな」
「いいからAは黙って俺に付いてきなせェ
あんな可愛いこと言ったんだから、さぞ準備は出来てんだろうなァ?」
「待って準備ってなに? ていうかここ私の家」
それぞれ反対方向に歩き出す。
神楽は街へ、二人は家へ。
神楽に助けを求めたが、美味しそうに酢昆布をしゃぶる彼女はきっと戦力外だろう。
「今夜は寝かせやせん」
「ちょっとぉぉおお!!?」
――直後、総悟に神様からの鉄槌が下ったのは、いうまでもない。
「こんな所で初めてをあげるわけにはいかない」
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桃 - うぇ!? なんですかこの作品!…………神じゃないですか!! 作者様神ですか!? この神作品を作ってくださって有難うございます!いつまででも更新待ってます! (2018年10月3日 19時) (レス) id: 6ebd955238 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - 主人公とキャラの駆け引きがとっても自分のタイプです!これからも応援しています! (2018年4月3日 22時) (レス) id: 2e9a8055ee (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - これからも頑張ってください! (2018年2月10日 12時) (レス) id: 5460fa1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 総悟大好きなので、すごく面白いです!これからも更新がんばってください! (2018年1月31日 20時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田くんオチですか。…沖田くんオチって意外と人気あるんですよねコレが。こんな駄作者な私でも100hitも行けるくらい。沖田くんはやっぱ最高だった。続き待ってます。と言っても最後のセリフは完全に襲う気マンマンだけど。 (2018年1月8日 6時) (レス) id: 2ca11f0d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2017年10月29日 20時