【銀魂】最強少女も彼の前では最強でなくなる。

73* 難癖ありすぎる ページ25

「―…え、っえええ…！？」

「そりゃ気づかねェだろうぜ。
リョウさん見た目だけは女だし」

「あら、お綺麗って言ってくれるかしら」

「何で俺が男を褒めなきゃいけねェんでさァ」

「ちょ、ちょっと待って、男…っ！？」


彼女の前で、ころころと笑う艶髪の麗しい人。
この人が、まさか男なんて。そんな。
　驚きで口が開いたままのAの顎に、リョウの右手が添えられる。


「なんなら、下でも触って確かめる？」

「はっ？」

「やめて下せェ。Aが触っていい下は俺のおれだけでさァ」

「下ネタをぶち込むな！」


さっさとリョウの手を振り払って、総悟の腕の下へ潜り込む。
それを見て、満足そうに総悟は彼女の肩を抱いた。


「そんな男でいいの？ 私ならもっと楽しませてあげられるのに」

「俺が楽しませるんで。
…着付けはしなくていいです、これで」

「えっちょっと総悟、あだっ！」

「いいからてめェはさっさと着替えな」


衣紋(えもん)掛けに吊るされた紺の着物をリョウに渡し、片手で彼女にデコピンをかます総悟。
　言い返そうと思ったが…更衣室の暖簾を閉められ、一気に遮断されてしまった。


「ふんっなんだなんだ！ たかが男ぐらいで！」


何故か不機嫌の総悟に冷たくあしらわれた為、1人でぷんすか言いながら襦袢を脱いでさっさと着替えるA。


「そりゃちょっと驚いたけと、こちとら一回死んで魔法使いになって転生してるのよ！
しかも銀魂の世界に！
肝の座り方尋常じゃないんだから」


全く、そのとおりである。


「A、着替えれたかィ？ けえるぞ」

「はいはいただいま戻りま…」

「また来てね」

「ひいい美しい男なんて嘘だああああ」

「うるせえ」


暖簾を開けた先に、何度も見慣れたはずの絶世の美女。
これが男なんてやはり信じられない。


「―…とにかくリョウさん、今日はありがとうございやした。騒がしてすいやせん」

「本当にお世話になりました！」

「あら、いつでもお世話してあげるからね」

「むりだ無理だムリだあれが男なんて信じられないひいいい絶命」

「情緒不安定か」


――…すっかり近くなった夕日を横目に、ほんのり赤紫色に染まっている大通りを2人並んで歩く。


「…でも、本当に綺麗だねリョウさん」

「あんな一癖ある方やめときなせェ」

「……ちなみに総悟は何癖もあるけどね」

「俺ほど素直な男いねェだろィ」

「どの口が言う？それ」

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