【銀魂】最強少女も彼の前では最強でなくなる。

70* その人は一体 ページ22

「…？ あれ、総悟、百貨店はあっち、」


「こっちで合ってまさァ。ほら、もう着くぜ」



そういって曲がり角を曲がれば、まるで知らない世界。

　百貨店よりかは数が劣るが、色とりどりの着物が並んだショーウィンドウ。

この世界では珍しい、引き戸ではなく洋式のプッシュ式ドア。


　ウッドを基調としたその店に、総悟は迷わず入っていく。



「いらっしゃい」


「リョウさん。こんにちは」


「あらァ総悟。久しぶり」


「……、こんにちは」



招いてくれたのは、"リョウ"と呼ばれた黒髪ロングのものすごい美人。

　勿論神様からのオリキャラプレゼントなのだろうが、余りの綺麗さにAは、数秒言葉を失った。



「……ビックリした。もの凄く可愛いわねこの子。一体どなた？」


「彼女でさァ」


「……ど、どうも」



そして切れ長だが全くもって大きな黒い瞳を見開き、Aをじっと見つめる。

可愛い、とAに言ったものすごい美人は、そのままこてんと首を傾けて微笑んだ。

　それがまた、爆発的な美しさで。



「じゃあ今日はこの子の着物を選びにきたのね、合ってる？」


「あァ」


「こんなに可愛い子……久しぶりに見たわ
こっちへおいで、選んであげる」


「…は、い」


「…人見知りかしら？ 益々可愛いわ」



こちらは余りの美人顔に緊張しまくってものすごい顔になっているに違いないというのに、余裕顔だ。



「私の事は気軽にリョウって呼んで」


「……はい。
あの、リョウさんは…総悟と……」


「―…あぁ。昔、私も真選組に居たのよ
そこで…総悟とは1番仲が良くてね」



この店を開きたかったから真選組を辞めたのだ、とそう続けた。
　総悟は黙ってそれを聞く。


一方彼女の方は漸く緊張が解けたようで、…というか、美人顔を見なれたというべきか。


　思い出したように、慌てて頭を下げた。



「わ、私はAと言います！
…総悟と、お付き合いを…してます

今日は、日曜日に夏祭りがあるので似合う浴衣を…」


「了解。それじゃ探しましょうか」


「柄は…ひまわりでお願いしやす、リョウさん」



ひまわり、そう言った途端リョウさんが輝く瞳で総悟を見つめた。
　まるで、よく言ってくれたとでも言いたげな瞳で。


「ひまわりはこの店の1番人気なの。それでここへ来たのね」


「お願いします…！」


―…ゆっくりと頷いたリョウが彼女の手を引くと…Aは固まって首まで赤くさせたのだった。

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