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67* 無理だってば ページ19

「――A」

「…っ」

「悪かった」


総悟が立ち止まって、深く頭を下げる。
少し前で、肩を揺らして固まるA。


「……だから何よ、」

「……?」

「分かってるよ、弱いなんて。
……だけど、総悟には言われたくなかった」


振り返ったAの頬に雫が落ちる。
拭ってやりたい、と手が動いたが、総悟はそれを必死に止める。


「お前は…弱くなんかねェ。誰より知ってる」

「…総悟の事、信じられないよ」

「何をしたら信じてくれるんでィ」

「何、って、…」


縮まらない距離のまま話す。
真っ直ぐな総悟に押され気味なAが少し考えて俯く。

漸く…苦しそうな顔して、顔を上げた。



「私の……携帯、見つけて、」


「携帯…?」


「昨日。落とした、から。……見つけたら、信じる」



目を合わせず、罪悪感を匂わせながらそう呟くA。
総悟は少し考えて…すぐに隊服の上着を脱いだ。



「…? 総悟、」


「わかりやした」


「…!?」



探してきやす、と上着を彼女に預けて走り出す総悟。

その行動に、Aはぎょっとして総悟を追いかけた。



パシャ、バシャッ


「……っ、見つかるわけないよ!」


「Aが言ったんだろィ」


「……っ」


「これ……期限無ェんですよね? それなら思う存分探してやりまさァ」



白シャツを捲って、手当たり次第水を掻き分ける総悟。
橋の上から、言いたげな顔してAが口を開ける。



「〜〜…絶対、見つからないんだから…!」



総悟は答えなかった。
ただひたすら水に浸かって携帯を探す。

いくら夏だからと言って、いつまでも水に浸かっていたら凍傷になるだろう。


彼女は、自分のした事の重さに耐えかねて家路に走って行った。



プルル……プル…ピッ



「――もしもし、Aちゃんか? どうした?」


「……あの、総悟って…帰ってますか」


「総悟? いや…帰ってないけど、Aちゃんの所に居るんだと…」



夜の10時。
まさかと思って近藤に電話してみれば、そう言われた。

嘘だよね。まさか、いるわけないよね。



「っはぁ、はぁ…!」



もし、まだ居るならもう半日以上たっている。

息を整えながら橋の下を覗けば、誰もいなかった。



「……何よ、」



少しほっとして踵を返す。

……その時、微かに、聞こえた。



――ぱしゃ、



「……っ!!」



――居た。総悟。

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- うぇ!? なんですかこの作品!…………神じゃないですか!! 作者様神ですか!? この神作品を作ってくださって有難うございます!いつまででも更新待ってます! (2018年10月3日 19時) (レス) id: 6ebd955238 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井(プロフ) - 主人公とキャラの駆け引きがとっても自分のタイプです!これからも応援しています! (2018年4月3日 22時) (レス) id: 2e9a8055ee (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - これからも頑張ってください! (2018年2月10日 12時) (レス) id: 5460fa1ff4 (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 総悟大好きなので、すごく面白いです!これからも更新がんばってください! (2018年1月31日 20時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
インク(プロフ) - 沖田くんオチですか。…沖田くんオチって意外と人気あるんですよねコレが。こんな駄作者な私でも100hitも行けるくらい。沖田くんはやっぱ最高だった。続き待ってます。と言っても最後のセリフは完全に襲う気マンマンだけど。 (2018年1月8日 6時) (レス) id: 2ca11f0d25 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2017年10月29日 20時

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