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「飲みに行く時とかに着ればいいじゃん」
「夜にそんな派手なの目立つよ」
「目立つからいいんだろ。
真っ黒黒助じゃ事故に合うよ」
雅紀に言われ智の体がぴくんと小さく跳ねる。
……オーナーに拾われる前に事故に合った事を思い出したのだ。
「雅紀……」
「あっ……ごめん」
潤に言われ智の事故の事を思い出した雅紀は素直に詫びた。
「うん、大丈夫」
智は潤の手をぎゅっと握りながら雅紀に笑顔を向ける。
「ほら行くよ」
気まずくなりそうな空気を変えるようにニノが先を促す。
「後、何買う？
雅紀はもう止めときなよ」
「なんだよ、それ」
「一番買い物してるだろ」
「………」
「そうだなぁ。
俺も予定してたのは揃ったけど」
ニノに指摘され雅紀が黙り込むと潤が答えた。
その時、体が前に進まなくなった。
潤と手を繋いでいる智が立ち止まったのだ。
「何？
なんかあるの？」
潤の声に雅紀とニノも足を止め振り返る。
智の視線の先を追うと……
「うん、確かに部屋は埋まるかも」
納得した雅紀が呟いた。
それを見たニノも
「いいじゃん。
ねぇ、潤」
「……そうだな」
ニノも潤も智を見ながら頷いた。
１時間後……後悔の嵐。
皆でいいなって言ってしまったし、智の満面の笑みを見たら誰も文句は言えない。
「取り敢えず急いで車に運ぼう」
「了解！」
店から出るなりダッシュ。
「駄目だ！
前が見えないよ！！
先行ってて」
雅紀が走るのを断念した。
彼が抱き抱えているのは店で一番大きかった……
テディベア。
リアル熊の等身大？
「俺、雅紀と一緒に行く〜」
そう言った智の腕にはプールに浮かべて上に乗って楽しめる大きさのサメのぬいぐるみ。
イルカはサメより二回り程小さく潤の腕に寝そべった姿勢の等身大の黒豹とともに抱かれている。
ニノの右腕にはヘビが巻き付きこれまた等身大のお座り柴犬、柴犬より少し大きな狼。
男４人……２名は女の子に間違えられるが女の子チョイスではないぬいぐるみを抱いて、ゆっくりは歩けない……歩きたくない。
若干１名のみ満面の笑みを浮かべているが……
「また買い物行く時、連れて来てね」
……まだ買う気か。
確かに１時間掛けて悩みに悩んだぬいぐるみ。
名残惜しそうにしているものが多々多々あった。
「１個ずつ増やそうね。
そしたら楽しみが長く続くでしょ」
流石カラーズに上がったナイト。
咄嗟に今日の二の舞を踏まないように先手を取った。
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
