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「まぁ〜くん……」
「………」
しつこく膝から降りようとせずお目目うるうるさせても……
「それでお願い聞いてくれるのはお客さんだけ。
俺にしてどうすんの？」
呆れた体でおでこを突つく。
突つかれた方はぷはっと笑って
「駄目かぁ〜」
「ちゃんと支度してから行くんだよ」
「ほぉーい」
ぴょんと飛び降りる。
洗面所に向かうのを見届けて小さく息を吐く。
あれ以上文句の言いようもない。
彼自身が拾われた子だから……
そして自分も彼に『一緒に来る？』そう誘われて来たから……
問題は拾われた松本潤が目を覚まして今の状況を何処まで把握して納得するかだ。
「どうせ巻き込まれるんだよなぁ」
訪れるであろう現実に溜め息しかない。
そう思いつつ寝室に様子を見に行ってしまう自分に苦笑する。
寝室のドアを静かに開いて見ると……
ベッドの上に座ってぼーーとしていた。
「起きたんだ」
声を掛けると睨まれた……
「……誰？
ここ、何処？」
寝起きの掠れた声……結構セクシーかも。
なんて呑気に考えてると眼光の鋭さが増した。
……野良猫だなぁ。
まぁ急転直下な体験をすればそうなるか……
眼力も気にせず考えてしまう。
「おいっ！」
「ああ、ごめんごめん。
俺は相葉雅紀。
行き倒れてる君を拾って来たこの部屋の主は今シャワー中……」
思い出したのか黙った。
「松本潤くんだよね」
「………ああ」
訝し気に睨むが助けられた事を思い辛うじて返事をする。
「帰るんなら止めないけど。
君を拾った彼が戻って来ると気にしちゃうから帰るならさっさと帰ってね」
営業用スマイル全開で言うが、黙ったままだ。
金なし宿なしなら帰る所はないのだろう。
どうするのか様子を見るが、どうやら松本潤本人もどうしたらいいのか、わからないようだ。
益々ややこしくなる予感の的中率が上がる。
「起きた？」
部屋の主は烏の行水だった……
「お腹空いたよね。
もうちょっとしたら食事が届くから」
ニコニコスマイルで勝手に話を続ける。
何時の間に連絡したんだ？
「しげさんが雑炊作ってくれるって言ってた。
ドクターが栄養失調だって言ってたから」
パンツ一丁で得意気に話しているのを見て何度目かの溜め息を吐く。
そこにピンポンの連打。
またややこしいのが来たと溜め息しか出ない。
「雅紀、出て」
「はいはい。
智は服さっさと着てよ」
「ほぉーい」
寝室の重めな空気を気にしない軽い返事……
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
