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呑気な声にキョロキョロしてしまう。
その様子に皆がくすくす笑う。
「潤だよ。
飲むか、セルフだけど」
そう言ってコーヒーメーカーを指差す。
確かに妙な緊張で喉が渇いていた。
頷いてそそくさとコーヒーを入れる。
ガラス横にあるソファーに座った光一が手招きして潤をよぶ。
「こっち座んな。
オープンするから」
座れと言われても本当に座っていいのか悩む。
だがソファーをぽんぽん叩き続ける光一の目はにこにこしている表情とは裏腹に据わってきた。
「クイーンに逆らうな」
ぽんと背中を押された。
前のめりになった所を光一に引っ張られる。
自然とソファーに座る事になった。
手に持っていたコーヒーカップは背中を押したであろう人物が溢れないように取り上げていた。
「素直においで」
頭を撫でられる。
コーヒーも戻ってくる。
「ほら、ナイトたちが並びだした」
促され見ると入り口であろう重厚な扉から通路を開けて奥に２列に並んでいた。
扉が開き客が婦人を伴い中に入って来る。
ナイトを始めウェイターまで一斉に頭を下げる。
ガラス越し声は聞こえないが挨拶の声も恐らく揃っているのだろう。
その中で１人のナイトが一歩前に出て改めて頭を下げる。
頭を上げると客を奥の席に誘う。
一つ一つの動きが流れるように優雅で美しい。
ただ歩いているだけでも……だ。
次々に訪れる客を誘うナイトたちは正に騎士だった。
目が離せない。
全員が客と共に席についた後、ほぉ〜と息を吐き出した。
「コーヒーすっかり冷めたね」
「えっ…あぁ……大丈夫です」
しっかり冷めきったコーヒーを慌てて飲む。
知らないうちに喉が渇いていたのか、一気に飲み干す。
「ナイトでそれ？
俺たちはこれからだよ」
ただただ優しかった表情が一瞬にして妖しい光を放つ。
それだけではなかった。
カラーズ全員の雰囲気が変わる。
その名に相応しい雰囲気に……
キングは輝々しく。
クイーンは妖々しく。
ジャックは優々しく。
エースは凛々しく。
ジョーカーは飄々しく。
普通の優しくて楽しそうなお兄さんたちだったのに……
ここまで変わるんだ。
「んじゃ、このまま行ってくるよん」
「俺も〜」
２人が出て行く。
「ジャックとエースが出るよ」
出て行った２人の事を教えてくれる。
暫くして階段を見るとジャックが出て２段後ろをエースが降りて行く。
店内が静まり客の視線が２人に集まっているのが見ているだけでわかる。
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年2月10日 8時
