９ わからない ページ9
「俺だってあの方に惚れて人間辞めたんだから」
翔は大きく肩を落とした。
そうだ……
不死の王の側にいる為に……
同じ寿命を得る為に……
神の領域を犯し、神の禁忌をも犯した。
……その贖罪が何故……今？
「雅紀が生まれて数十年…俺が生まれて何百年だ？
それが同時？
どっちがついでだ？」
頭の中に浮かんだ疑問を口にすると
「神の考える事など我等にわかる筈などありませんよ。
気にするだけ無駄でしょう」
そう返されると翔は何も言えなくなる。
「結局……妖魔以上に神は気紛れなんだな」
「そういう事です」
それで話を終わらせるしかなかった。
「何にせよ、我等は王に従うのみ。
今回は特に我々にとって貴方をお護りする事に異存はございませんしね」
楽しそうに笑う風磨と竜也。
「頼りにしてるよ」
「お任せあれ」
「ええ、貴方に指一本触れさせはしません」
笑顔で送り出される言葉の何と心強い事か。
それにより翔もまた笑顔を返した。
「何で地下？」
「天使が絶対に入れず神々の関与も除外される唯一の場所だからね」
仕事終わり再び地底の帝国へと連れられて来た雅紀が俊介に問うと微笑みと共に言葉が返った。
「翔ちゃんと大ちゃんは？」
「翔くんはまだ仕事かな、もう直ぐ終わるみたいだけど。
王はもういるよ、暫く休みにしたからね」
友である筈なのに会話が敬語となりかけ雅紀は慌てて止めた。
今まで通り友でいて欲しいからと。
それを了承した俊介と斗真。
その斗真も程なく雅紀と合流し雅紀はほっと息を吐いた。
不死と言われても無事な姿を見るまでは不安でしかなかったのだ。
「おかえり、雅紀。
色々、大丈夫った？」
案内された部屋の奥…カウチに寝そべる智が雅紀に声を掛け手招きする。
「大ちゃん…俺……」
「ごめんな、和がさ…ちょい強くて面白くなってたら潤がそっち行っちゃったみたいだね。
でも、あれなら斗真でどうにかなったろ？
なぁ、斗真」
「はい…天使とはあの程度かと思う程に」
「そう……うちの順番通り末っ子で生まれてたら強かっただろうにな。
潤の方が早く生まれたんだ。
しかも太陽が登る前に……せっかち過ぎ。
だから太陽の力を殆ど持たずに生まれた。
それでなくとも我等、妖魔の幾許かは太陽を恐れぬと言うのに。
その辺、和はね……太陽が登り切ってから生まれたようだから、しっかりその力を持っていた。
それこそ俺がそれなりに楽しめる程にはな」
「楽しかったの……？」
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
