6 人間と妖魔 ページ6
「なんか、訳がわからないんだけど」
素直な疑問を口に出す。
大切なメンバーが突然、変わってしまったのに何も聞けなかった昨夜。
その為、気心の知れた友に聞く。
「俺も詳しい事は聞かされてないんだよ。
唯、君が天使に狙われてるから護れって言われただけだからね。
詳しい話は雅紀が起きて取り敢えず今日の仕事が終わってからまた話してくれるよ。
俺だって訳わかんないもん。
昨日まで普通に仲の良いメンバーだった松潤とニノが天使として急に覚醒して雅紀と翔くんを殺そうとするなんてさ」
「あのさ…翔ちゃんと大ちゃんって呼んでいいの?」
「いいらしいよ。
あの方の戯れに付き合ってあげて」
戯れ……その言葉に胸がツキンと痛む。
何がどう……何処から何処までが戯れなのか。
自分は真剣に仕事してるのに。
あの人には戯れでしかないのか?
そんな意味のない勝手な憤りすら浮かんだ。
でも口にはできない。
それこそ………もっと壊れてしまいそうで。
大切な空間が……
「2人はどうしてるの?」
「我が君……大ちゃんは天使と遊びに行ってる。
今日、こっちの仕事休みだって言ってたから。
翔くんには上田と菊池が付いてるから大丈夫だよ。
上田と菊池は強いからね。
ごめんね、雅紀には俺なんかで」
「そんな風に言わないでよ。
俺は嬉しいんだ。
俊介は俺の事心配して一緒にいてくれるんだろ。
1番落ち着くよ」
「そう言って貰えると俺も嬉しいよ」
益々……わからなくなる。
雅紀にとって長年の友である俊介が妖魔だと言われても何も変わらない。
彼の持つ優しい雰囲気も温かな空気も。
昨夜いた地下帝国に住むであろう住民とは違う。
彼は正真正銘の人間ではないのか?
「ふふふ……雅紀…事務所の人間は皆、半分だけ妖魔なんだ。
その中で俺は血的には人間寄りだよ。
人間でも父親似、母親似ってあるでしょ?
それと一緒。
俺は人間似なんだよ」
「そんなのあるの?」
「あるの。
斗真なんかは妖魔寄り。
上田も菊池もね。
翔くんなんか人間でも魔術師なんだよ。
魔術がまだ罷り通ってた頃の時代の人だから」
何1つわからないまま昨夜は急展開な事があり疲れて眠ってしまった事を後悔した。
自分だけ何1つ知らない。
知らない事がこんなにも不安になるなんて……
「俺……何も知らない………わからない。
怖いよ、俊介………俺どうすればいいの?」
「俺の知る範囲なら何でも聞いて……教えるから。
だから、そんなに不安がらずに笑っててよ」
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました! (2021年10月18日 13時) (レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした!面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです! (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼羽 | 作成日時:2021年9月28日 2時