４２ おかえり……ただいま ページ42
潤の言葉に皆が頷いた。
若干１名挙動不審ではあったが……
「翔さん、まさか……気付いてなかった？
違和感の違和感……
貴方、自分の強い魔術のせいでここらの妖魔の魔術を見失ってた？
確かに俺等もベッドに人いるから惑わされてたけど、今ステージにいるあの人が正真正銘、本物である事はわかったよ」
「代役に変わって完璧だけど違和感は拭えなくて…ずっと感じてた。
でも今日の違和感は何時もの違和感と違ってた。
代役に対する違和感に慣れ過ぎて違和感の中身が変わっても直ぐには気付かなかったけど……今日のは明らかに違ってた」
耳と目はステージに釘付けのまま、胸の内に感じていた事を話す。
「翔ちゃん……大ちゃん帰って来てた。
でも内緒は駄目だよね。
後で泣き付いてやる」
真珠か金剛石か…………そんな涙を流す３人。
それが余りにも清らかで美しくて翔はそれすら心奪われる。
数千年生きて………何時から涙を流すと言う行為をしていなかったのだろうか？
人間である事を止め、とは言え妖魔にもなれず……
唯、人間でありながら人間臭さだけを失った。
人間であった事だけを覚えていて人間とは如何なる生き物であったかを忘れた。
彼等といても自分は人間だったから知ってる……と高を括っていた。
何一つ覚えてもいないのに。
そんな翔の横で純粋に人間の生活や人間臭さすら楽しんでいた妖魔の王。
だから気付けなかったのか………
王が覚醒して何時の間にか皆の中にいた事に。
覚醒を内緒にしていたのは細やかな悪戯。
恐らく皆の反応を楽しんでいたのであろう。
やたら手の込んだ趣向を凝らした悪戯をしたり、単純明快な悪戯を仕掛けたり……妖魔なりの楽しみ方をするのだ。
「……やってくれる」
何千年生きても引っ掛かってしまう。
しかも悔しい事に単純な趣向程……
それを楽しむ王。
満足気に微笑むその人を見るだけで胸を踊らせていたのは何時の頃だったか……
何時の間に、こんなに遠い記憶になってしまったのだろうか？
だから………王は新たな余興を探したのか。
それでも翔に飽きた訳ではなく……質が悪い事に翔の反応をも楽しむ為に？
……って事は俺は何千年経っても、あの人に振り回され弄ばれているって事か？
……でも、それが妖魔なんだよな………
気付いても納得するしかなかった。
踊り切ってステージを下りて来る智。
そんな智に駆け寄る４人………翔は雅紀に手を引かれて。
「おかえり……」
「ただいま？」
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
