３６ それぞれの覚悟 ページ36
鋭さが消え揺れ動く瞳。
「……そんなの…それこそ俺にだってそれを決める権利はない。
全ての決定権を持つのは……あの人だから」
「でも俺は……翔さんが望むなら…あの人を敵に回してでも消えるよ」
「何故？
一緒にいたいって言ったのはおまえだろ？」
「そうだよ。
少々の喧嘩ならあって当たり前だから別にいい。
でも…でも……裏でギスギスとした駆け引きなんかはいらない。
相葉さんじゃないけどさ、皆で笑っていたいんだ。
笑うって事を教えてくれたのはあんたらじゃん。
それがなくなるなら……俺自身…無くなってもいいと思ってる。
どっちにしろ、あの人から離れて生きて行けるとも思わないし生きてる意味なんてないからね」
「脅してるのか？」
「いいや…それくらいの覚悟って事。
潤くんも相葉さんすら…彼等なりの覚悟はあると思うよ。
後は翔さんの覚悟だけ。
でも…それを持つ持たないは翔さんの自由だけどね。
じゃ、俺も帰るよ」
言いたい事だけ言って和也もまた窓に向かった。
「おまえ等…扉から出ろよ」
「慣れると結構、便利だよ。
俺等は翔さんと違って何処からでも闇の国に行ける訳じゃないからね。
１回一々事務所戻らなきゃだもん。
となるとこれが１番早いんだ、信号も渋滞もないからね」
そう言って夜空に身を踊らせた。
「あれ、翔ちゃん…まだいたの？」
今度は雅紀が入って来た。
「おまえこそ、随分ゆっくりだな」
「自主練してたんだ。
大ちゃんに起きて貰わなきゃだし。
それに起きた大ちゃんに格好悪いとこ見せらんないじゃん」
星が煌めくが如く笑みを浮かべる雅紀を翔は眩し気に見た。
「雅紀はさ……智くんを待つのか？」
「待たない。
でも人間の俺なんかにできる事なんて知れてるだろうけど俺にできる事があるなら何でもやるよ。
どんなに格好悪くても足掻く。
それでも起きなくて…俺がよぼよぼのお爺ちゃんになったら、そのまま寿命に任せる。
で、来世…いっぱいいっぱい文句言うんだ。
でも……信じてる。
きっと大ちゃんは起きてくれるって」
魔術も何も持たない現代の極普通の人間………相葉雅紀。
だが、そんな彼が細やかな奇跡を何かしら起こして来た事は身近にいて知っている。
そして信念を持って言った事は真摯に取り組み達成させる事も……
「で、どうして…そんな事聞いたの？」
「何となく？」
「何、その大ちゃんみたいな言い方」
何時だって前向きで笑顔で頑張る雅紀に皆がどれ程救われた事か……
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
