４ 開かれる扉 ページ4
死する事無く永遠を生きるが故に膨大な記憶や知識が溜まって行く。
それを留めて置く事も出来ず殆どが忘却の彼方へと流されていた。
それ以前に俄な願いなど神々の耳にすら届かない。
そんな神の意識にぽつりと届いた言霊。
『神などおらず、全ては大地と人の叡智と努力で世は回っている』
耳より入った言葉のうち意識に届くのは人であろうと神であろうと己の都合のみ。
神の存在は人間に崇拝されて成り立つもの。
例え神が人に興味がなくとも。
それで幾度となく人々を見捨てて来た。
その都度、神が唯一干渉しない出来ない王たちの手に寄って気紛れに救われて来た事は人々の知る所ではないが……
「だから…何かが引き金となり２人剣を抜いた」
「それが何なのでしょうか？」
「それを思い出せばいい」
「大ちゃんも考えてよ」
「ま、雅紀！
確かにメンバーだけど、この御方は……」
「構わん。
それが雅紀だ……なんなら翔くんもいいけど？」
「楽しんでらっしゃいますか？」
「楽しむ為に事務所まで用意したが？」
「えっ、まさか…事務所毎？」
「言うておらなんだか？」
「聞いてません！」
「あそこは全員妖魔ぞ。
落ちたのぉ、稀代の魔術師も」
楽し気に高らかと笑う智に翔は何度となく溜息を吐いた。
「本当に全力で遊びますね」
「長い……長い時を生きておる。
細やかな戯言よ」
智は尚も笑い手にした銀色の杯を呷る。
「まさか…あなたが社長って事はないでしょうね？」
「安心しろ、それはない。
生粋の妖魔は日中、日の下には出れん。
が、人との血が混じった妖魔は出る事が可能となった。
それ故に新たな退屈凌ぎが楽しめるのだ」
「それだと貴方は生粋の妖魔ではないと言う事ではないのですか？」
「我が身は今も昔も１つ。
我が身は２度消え２度蘇った。
２度目は太陽をも我が身を消し去る事を叶わぬ身として……」
「貴方と長い時間……共にいた筈なのに知らぬ事がまだまだあるのですね？」
「其方との時間など余に取ってまだまだ僅かな時間にしか過ぎんよ。
其方に出会って側にいるのは地球が丸くなってから。
余はそれ以前……地球が平らであった頃より妖魔の王であったのだから」
「えっと…」
「話せば長い。
後日、また話してやる。
雅紀が寝た」
「あ……」
「地上に戻ろう。
地底にいては時間の感覚が狂ってしまう」
眠り果てた雅紀をその腕に抱き翔を呼び寄せ
「掴まっておれ。
送り届けてやる」
「ありがとうございます」
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
