２ 闇の国 ページ2
「翔ちゃん……ここ何処？」
灯りは点いているが薄暗い。
否、建物、調度品……全てが黒。
あらゆる黒がそこにある。
「地底にある闇の国。
妖魔の都だよ」
「なんで？
何の物語なんだよ！
訳わかんない」
人間であるならば当然の反応だろうと翔は小さく息を吐く。
何よりこちらが聞きたい。
２人が神の使いであった事も突然剣を抜き攻撃して来た事も訳がわからない。
唯…主にして今、戯れに友として過ごしていた王のみがどうやら全てを知っていたようだ。
だが、その王も新しい遊びに興じている。
気が済むまで戻っては来ないだろう。
不老不死で永遠を生きる彼にとって新しい遊びは必要不可欠なモノだから。
「翔ちゃんってばっ！」
普段見る事のない物ばかり見た上に急転直下な展開に衝撃を受けているようだ。
再び翔は溜息を吐き
「落ち着け。
何故こんな事になってるのか俺にもわからん。
だが唯一わかっているのは、この闇の国にして妖魔の都が１番安全だと言う事だ」
「なんでだよ！
俺ら人間じゃん、そんな闇だの妖魔だの訳わかんないとこが安全な訳ないじゃん！」
動揺している雅紀を翔はそっと抱き寄せ
「落ち着け……智くんが戻って来たら全て説明してくれるから」
「大ちゃん説明苦手だよ、大丈夫なの？」
「大丈夫だよ。
この国の事、世界の理……俺以上に知っているから。
それだけ長く果てしなく生き続けているんだよ」
今まで一緒にいた仲間が違う人のように見えるし感じるし聞こえる。
事実……変わっていた。
「松潤とニノ……なんであんな事になったんだろ…って大ちゃん、怪我してたよ！
本当に大丈夫なの！！」
「大丈夫だ。
あの方は死なない。
如何に神の下僕と言えど……いや、下僕如きがあの方を殺せる筈はない」
「松潤やニノは？
どうなるの？」
「智くんのお気に入りだからね。
殺される事はないと思うよ」
僅かに震える雅紀に翔はそっと微笑んだ。
………まだ余興だと楽しんでいるうちはね。
と心の中で呟きながら。
「ただいま」
その声に翔は雅紀を離し跪く。
「お帰りなさいませ」
「いいよ、翔。
雅紀の前だからね」
翔の横をその髪を撫でながら通り過ぎ雅紀の前に立つ。
「怪我……してるね。
その分は潤にお仕置しといたから。
お腹空かない？
俺は飲みたいし……ね」
「大ちゃん……
松潤とニノは？」
「大丈夫、死んではないよ。
神が作った人形だからね。
あれらは不死の人形だ」
そう楽し気に笑った。
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蒼羽(プロフ) - みみさん» コメントありがとうございます。妖艶な王様さとさん楽しんでいただけてよかったです。私が書くとほわほわしてしまうので。格好良いさとさん目指しているんですけどね。そう言いつつ格好良いからは少しズレてますが……完読ありがとうございました！ (2021年10月18日 13時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
みみ(プロフ) - 完結お疲れさまでした！面白かったです。妖艶な王を想像するのが楽しかったです！ (2021年10月18日 7時) (レス) @page47 id: 6d225d7753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2021年9月28日 2時
