side Ｊ ページ36
漸くこの手に戻って来た智を迎えいれたのはセキュリティがしっかりしたマンション。
やっと本当の意味で智を手に入れた。
色々と遠回りしたけど。
初めて智を見たのは高校生の時。
通学電車で立ったまま寝そうになって両隣の奴らに支えられてた。
『器用だな』
最初は興味本位だったが毎朝、見つける度に観察してた。
ふわふわと笑って友人の話を聞いてるかと思えば突然ツボに入ったのか身を捩り笑った。
何故だか目が離せなくなった。
でもそれは面白いからだと思ってた。
ある日……智は変わった。
明らかに今までにない艶を纏ってた。
そして瞳も……友人である２人を見詰める瞳に別の色が混じった。
そして…その時になって自分の気持ちに気付いた。
あの瞳が欲しいと……
だが学校すら違い何一つ接点のない俺と智。
どうしようもできない……でも諦めたくもない。
何より２人が邪魔だ。
ある日……智だけがいなかった。
体調でも崩して休みか？
…………そしてそれはチャンスだった。
彼らの近くで自分の友人に話を振る。
「聞いてくれる？
俺さぁ、二股かけられてて問い詰めたら『どっちも違うタイプだから決められないの。それに片方が可哀想じゃない？』って自分を正当化するんだ……どう思う？」
「最悪だな。
悲劇のヒロインぶってる」
「いるいる。
しかも自分は悪くないって思ってんだろ？」
「そうなんだよ。
俺の方こそ可哀想だよな？
別れて、もう清々した。
悩まなくてもいいし辛い思いしなくてもいいからな」
「そうだよ。
そんな女、別れて正解！」
友人たちは上手くノッた。
チラリと奴らの方を見ると互いの視線を外し何とも言えない顔をしていた。
そして受験を迎える前……智は１人になった。
いつも一緒にいた２人が消えた。
俺は心の中でガッツポーズを決めた。
邪魔者がいなくなれば情報収集も簡単だった。
ツレのツレに智と同じ高校にいる奴がいて、そいつに探らせた……勿論、ただじゃなかったけど構わない。
たまたま智と同じクラスにいるそいつのおかげで受験する大学もわかった。
だから同じ大学を受験した。
キャンパスで智を見つけた時は叫びそうになった。
普通に話し掛けてもよかったが……そうさせてくれる雰囲気は欠片もなくなってた。
智は黒縁眼鏡をかけ俯いて顔を上げなかった……失敗したか？
２人を離す事を優先したら心が壊れた？
だったら……
中途半端ではなく徹底的に壊して………それから優しく甘やかそう。
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蒼羽(プロフ) - 青子さん» 初めまして＆コメントありがとうございます！…もう嬉しすぎます。青子さんのお話もお気に入り入れて何度も読み返させて頂いてます。そんな方からのコメント嬉しすぎます。拙いお話にお付き合いありがとうございます。しかもタニス・リーファンだなんて…頑張れます！ (2021年11月26日 22時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - 今回のラスト、まさかまさかでした。この先があったら、なかなか怖い事になりそう…などと妄想しております。蒼羽さんの作品をこれからも楽しみにしております。モンスターの太郎ちゃん、一郎君兄弟、楽しみにしております。最後にタニス・リーのファンです。 (2021年11月26日 16時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます。蒼羽さんのお話は全部読ませていただいております。毎日の更新本当にありがとうございます。 (2021年11月26日 15時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年11月26日 0時
