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だが………現実逃避で引き籠もる事、数ヶ月。

その間………真面な食事もしてなければ眠れてもいなかった。

そんな俺を捕まえるなんて彼らには簡単な事だった。


「大ちゃん……ごめん、ごめんね」

「ずっと会って謝りたかったんだ」


2人に前後から挟まれて逃げられない状況で聞こえた言葉。

………………なんで?

俺のせいだろ?
俺が2人に甘えてはっきりしないから、ああなったんじゃないか。

なのに………なんで2人が謝るんだ?

訳が分からなくなって固まってしまった。


「取り敢えず……智くん。
時間あるなら今からごはんでも食べにいかない?
そして話をさせて……」


相変わらず優しく諭す声。
この声で誘われて断る術を俺は持ってない………

だから小さく頷いた。



頷いてから財布の中に電車賃しかない事を思い出す。


「あ……でも、俺……電車賃しか持ってないから、今日は無理だよ」


震えそうになる声を抑えて、どうにかそれだけ伝えた。


「じゃあ……奢らせて」

「そ、そんなの駄目だよ」


それは駄目だ。
彼らにそんな義理はない。
俺が奢らないといけないくらいなのに………


「いいんだよ……
俺らは大ちゃんに怒ってない。
寧ろ謝りたいんだから」

「そうだよ。
若気の至りであなたを傷付けた。
大人になって改めて考えた。
優しいあなたを追い詰め傷付けたのは俺らの方だってわかったんだ」

「だから、ね……
大ちゃん……俺らの話を聞いて」


2人の優しい優しい声。
傷付けたのに。

こんなに優しい声を悲しみに怒りに震えさせたのは俺だったのに……


2人の……今は優しい声に後々…断罪されたとしても仕方ないと諦めて………付いて行くしかなかった。





1つ1つのテーブルが個室のように囲われて出入口には暖簾。
そんな部屋が並ぶ居酒屋。

居酒屋なんて何年振りだろう。
彼は外飲みを嫌がった。
ずっと俺んちで飲んで食ってた。

そんな事を想い出し……まだ塞がらない傷を描き毟られる。


「智くん、食べたいモノある?」

「えっと……任せるよ。
特に好き嫌いないから……適当に摘む」


そう……もう何もないから。
何を食べても味なんてしないから。


「そうなの?
少食は相変わらず?」

「うん……そう…かな」


きっと真面に食べられないだろうから、そういう事にしておく。



ビールのジョッキが並び食べるモノも取り敢えず頼んだモノが並んだ。


「乾杯の前に……智くん、本当にごめん」

「俺も……大ちゃん、ごめんね」

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蒼羽(プロフ) - 青子さん» 初めまして&コメントありがとうございます!…もう嬉しすぎます。青子さんのお話もお気に入り入れて何度も読み返させて頂いてます。そんな方からのコメント嬉しすぎます。拙いお話にお付き合いありがとうございます。しかもタニス・リーファンだなんて…頑張れます! (2021年11月26日 22時) (レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - 今回のラスト、まさかまさかでした。この先があったら、なかなか怖い事になりそう…などと妄想しております。蒼羽さんの作品をこれからも楽しみにしております。モンスターの太郎ちゃん、一郎君兄弟、楽しみにしております。最後にタニス・リーのファンです。 (2021年11月26日 16時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます。蒼羽さんのお話は全部読ませていただいております。毎日の更新本当にありがとうございます。 (2021年11月26日 15時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼羽 | 作成日時:2020年11月26日 0時

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