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「俺はずっと前から愛してる」
唇が触れ合う瞬間に囁かれた言葉。
そう言ってたね。
俺が入院したのって……かなり前じゃん。
そんな前から愛してくれててありがとう。
「帰ろう、大ちゃん。
帰ってゆっくり愛し合おう」
「 ストレート過ぎ」
「じゃ、貴族様風くらいしかないけど？」
「それもちょっと違う。
あれは聞いてる方が恥ずかし過ぎる」
「大丈夫、言う方も凄い恥ずかしいから。
セリフじゃなきゃ言えないよ」
ラブストーリーには遠い２人だけど愛はちゃんとあるからいいよね。
「帰ろう」
「わかった」
再び船が動き出す。
港に着くまでの間、俺は後片付けして空と海を見てた。
大ちゃんは空のように広い心と海のように深い想いで皆を包み込んでくれる。
そんなあなたは俺らにとって港。
必ず帰る場所。
あなたがいるから何処までも飛んで行けるし、どんな荒れた海にも行けるんだ。
言ったら怒るかもしれないけど、あなたが降らせる雨は心の中に溜まった黒く澱んだモノを洗い流してくれる。
恵みの雨、癒しの雨、雨は命を繋ぎ、上がった後は綺麗な虹を見せて心を和ませてくれる。
……そう考えたら雨も悪くないよ。
それでも雨が嫌なら俺が晴れさせるから。
あなたのお墨付きの晴れ男な俺が。
今だって雲１つない見事な晴れっぷり。
だから、俺の側にいて。
港に着く頃には日も傾き水平線に沈む所だった。
普段見る事のない幻想的な風景。
息をするのを忘れて見入る。
「綺麗だろ。
これも相葉ちゃんに見せたかった」
「……マジ綺麗」
それっきり言葉も無く沈んで行く太陽を２人で見てた。
船を下り、今度は車。
それは俺が運転するけど大ちゃんは早々に夢の中に旅立った。
色々考えて準備してくれて疲れたね。
車と船の運転ってどっちが大変かな？
……海の方が怖いな。
道標も何もない。
見渡す限り同じ風景。
ナビがあっても何も映してなければ意味はない。
車で砂漠や平原を走るのと一緒。
なのに敢えて何も見えない場所まで連れて来てくれたんだね。
空と海しか見えない心を無にできる場所へ。
度胸座り過ぎ……俺には怖くてできないよ。
この小さな体の中に広がる空と海のような心。
だからできるのかな？
ありがとう、大ちゃん。
おかげで落ち着けたよ。
もう焦りも不安もない。
あなたは宣言通り見ててくれる。
できればずっと側にいてね。
愛してる……はそういう事でしょ？
帰ったら確かめ合おうね。
愛してる……
おわる
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蒼羽(プロフ) - 青子さん» 初めまして＆コメントありがとうございます！…もう嬉しすぎます。青子さんのお話もお気に入り入れて何度も読み返させて頂いてます。そんな方からのコメント嬉しすぎます。拙いお話にお付き合いありがとうございます。しかもタニス・リーファンだなんて…頑張れます！ (2021年11月26日 22時) (
レス) id: f9ecf164e6 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - 今回のラスト、まさかまさかでした。この先があったら、なかなか怖い事になりそう…などと妄想しております。蒼羽さんの作品をこれからも楽しみにしております。モンスターの太郎ちゃん、一郎君兄弟、楽しみにしております。最後にタニス・リーのファンです。 (2021年11月26日 16時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
青子(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます。蒼羽さんのお話は全部読ませていただいております。毎日の更新本当にありがとうございます。 (2021年11月26日 15時) (レス) id: d98076db62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼羽
| 作成日時：2020年11月26日 0時
