【文スト】方向音痴のマフィアさんは中原幹部にときめいている (ページ8)

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お礼参りと探偵社ページ8

さて。
今、私の目の前にはひとつの扉がある。
何の扉か？

答えは簡単、武装探偵社の入口の扉だ。
札が掛けてあるから間違い無い。

思えばここまで長かった。
個人的な復讐の為に構成員を動かすのは忍びないから自力でここまで来たのだ。

所要時間、約4時間。
いやはや。

雑談もそこそこに、早速、突撃することにしよう。

「太宰治はいるか！」

バンっと勢いよく扉を開ける。
こういうのは最初のインパクトが大事なのだ。

「なんだい、太宰ならいないよ」

金色の髪留めの女性が出迎えてくれた。
仕事場にいないとはなんて奴だ。
しかし、これくらいで諦める私ではない。

「私はポートマフィアのAだ。太宰治に辱めを受けたとあるお方の仇討ちに来た。太宰はどこだ」

ポートマフィア、という単語を発した瞬間、社内の空気が張り詰める。

「…………」

ふと、殺気立つ少女が視界に入る。
そういえば、泉鏡花がいたのか。
まあ泉に用は無い。

「太宰ならその辺をフラフラしてるだろうよ。妾たちは忙しいんだ。……けど、やろうってんなら――」

「協力感謝する。復讐を果たした暁には太宰をここに連れ戻してやろう。ま、死体になっているかもしれんがな」

探偵社も役に立つじゃないか！
なるほど手強いわけだ。

「……なんだったんだ」

閉めた扉の向こうから何か言っているのが聞こえてくるが、どうでもいい。
待っていろ包帯野郎！！