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窮地と救世主 ページ24

5分ほどたっただろうか。

腕とあばらの骨は折られ、額からも出血していて視界が悪い。
細かい擦り傷、切り傷に至っては数えきれないほどだ。

最大限、受け身は取ったがそれでも満身創痍。
攻撃を受ける度、自分の無力が身に沁みるようだった。

なんて考え事をしている間にも、奴の触手が襲いかかってくる。
やがてまともに避けることもできなくなり、足がもつれて無様にも転んでしまった。

「動け、動けよ……!」

しかし、疲弊した足は言うことを聞かない。
触手が大きく振りかぶられる光景を前に、死を覚悟した。

「中原、先輩……私は……」









「おらあっ!!!」





突如として現れた何者かに、触手が吹き飛ばされた。
そして何者かは間髪入れずに敵の体をとてつもない力で蹴り飛ばした。

小柄なその体は重力に逆らうようにゆっくりと降下していく。

華麗に着地した"彼"は、3年前と変わらない美しさだった。

「無事か、A」

「な、中原先輩……」

嬉しさとともに、申し訳なさがこみ上げてくる。
私はどこまで先輩の手を煩わせれば気が済むのだろうか。

いっそ相手ごと自爆してやった方が良かったのでは―――

「A」

「っ、はい」

ふわ、と頭に手が乗せられた。

「よくやった。後は任せろ」

そのまま不器用にぐしゃぐしゃと撫でられる。

「中也、来るよ」

「うるせえ判ってる」

安心からか、意識が薄れていく。
最後に見えたのは中原先輩と憎き太宰の並んだ背中だった。

元相棒と嫉妬→←戦闘と使命感



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , ラブコメ(?) , 中原中也   
作品ジャンル:ラブコメ
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作者名:サーモニウム | 作成日時:2018年6月14日 23時

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