【文スト】方向音痴のマフィアさんは中原幹部にときめいている (ページ15)

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侵入と再会③ ページ15

少し試してみよう。

私は視界をそのままにし、通信機に向かって語りかけた。

「貴女、聞いていますね？あ、先輩じゃなくて探偵社の方に言っているのでお構いなく。

　――喫茶店ではどうも。久しぶりですね。
　貴女の声は聞こえないので一方的に喋らせてもらいます。
　
　今、私は貴女達を"見"ています。
　勿論、異能力ですよ。
　……こちらの手の内も少し明かしてもいいかと思っただけです。
　他意はありません。

　さて……奇妙な事になりましたねぇ。
　私、不思議と貴女を赤の他人だとは思えないんです。
　喫茶店で会ったあの時からずっと。

　きっとまた会うことになると思いますよ。
　ではまた、その時にゆっくりお話しましょう」

そうこうしている間に戦闘は終わったようだ。
という事は、探偵社はすぐにでも動き出す。

首領の作戦はいつも無慈悲なまでに合理的。
本当に、ポートマフィアの首領に相応しい方だ。

『今から帰還する』

「了解です。お気を付けて」

通信機はもう切っても大丈夫だろう。

どうせなら中原先輩の戦う姿をもっとしっかり見ておきたかった。

任務の都合上、いつも以上に先輩を危険から守る必要があったから、周りに気を配ってばかり。
先輩の勇姿はあまり拝めなかったのだ。

ともあれ任務は無事完了した。
それに……。

……これからが少し楽しみだ。