Shall we play the chess? ページ6
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そらるside
『……わかりました、では、勝負がついたらよろしいんですね?』
そう言ってAはニッコリとした笑みを顔に貼り付けると、志麻様とセンラ様の方に近寄って行った。
……あの顔は、マジでキレてる顔っていうのは、経験上わかる。
実際、今まで何回か見たことあるし。
志麻様センラ様、ご愁傷様です。
軽く同情しながら、浦田様・坂田様とそれらの行方を見守っていた。
Aは、チェスボードの前に椅子を引いて座ると、眼鏡の細い銀色の縁の中央を軽く指で押し上げた。
レンズ越しに、澄んで蒼く見えるほど冷え冷えとした瞳が理知的な光を宿している。
目が合っただけで冷凍してしまいそうだ。
志麻様とセンラ様は早くも凍り付いている。
Aはそんな二人を一瞥してから、形の良い唇を開いた。
『では、私と勝負いたしましょう。そちらは志麻様とセンラ様で、2対1で結構です』
何を言い出すのかと思いきや、Aの口から出た言葉は衝撃的なものだった。
え、嘘だろ?
あのお二方相手に2対1?
無理がある。
マカロンに手を出し始めていた浦田様と坂田様も、呆然とした顔でそれを見ていた。
すると、突然志麻様とセンラ様が、堪えきれないといったように笑いだす。
し「舐められたもんやねぇ、俺たちも」
せ「そうやねぇ、まさかAにそんなこと言われるとは思わんかったわぁ」
喉の奥でくつくつと笑いながら、センラ様は志麻様の横の方に移動した。
チェスボードを挟んで座っている3人の位置は、まさに2対1。
普通なら怯えて逃げ出してしまってもおかしくない状況なのに、Aは嗤っていた。
それも、殺気に満ちた笑顔で。
その顔に、俺は背筋が凍っていくのを感じた。
これは本当に、志麻様とセンラ様が可哀想だ。
そう、俺は忘れていたんだ。
Aが頭が良いのは努力もあるのだろうけど、
Aは、本当の天才なんだってことを。
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kne(プロフ) - 続き楽しみです。 (2021年9月14日 0時) (レス) id: ee34aec55d (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - リスさん» リスさんなんですね!私はこたぬですが基本的に箱推しです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ぱるむさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 ありがとうございます! 今リメイク版を作成している最中なので、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ランデブーさん» ありがとうございます!そう言ってもらえてとても嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
リス - 私も志麻リスです! (2021年6月24日 22時) (レス) id: 016461b9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よる | 作成日時:2020年7月30日 16時