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せ「……じゃあさ、俺が
…………え?
一瞬、思考が停止した。
……そういうことか。
う「別に、いいんじゃねぇの。恋愛とかは人それぞれ自由だし」
せ「……そう、なんよな。誰かを想うのは自由なんやけど、でも……」
う「でも?」
センラはそこで一旦言葉を濁す。
せ「でも、実感湧かへんっていうか、……はぁ〜なんでなんやろ………」
センラの言葉は、俺に向かって言っているようにも独り言のようにも聞こえた。
か細く小さいその声は、天井に吸い込まれていく。
少し気まずい空気の中、躊躇いながらも俺は口を開いた。
ずっと聞きたくて、でも聞けないままでいたのだ。
う「えっと、その、聞いていいか?」
せ「何を?」
う「……その、お前が好きな奴って、結局だれ?」
瞬間、センラを取り巻く空気がピシッと固まった気がした。
あ、もしかしてこれ地雷踏み抜いた?
う「あ、いや、別に言いたくなかったら言わなくても……」
せ「………ぁぃっ、」
う「え?」
「あいつ」って、誰だ?
するとセンラは、痺れを切らしたのか叫ぶように言った。
せ「〜〜っ、だから、あいつ!執事のあいつやって!」
………情報力少なっ()
言い切った本人は珍しく頬を朱に染めて、肩でぜえぜえと息をしている。
ってか、執事って言っても、俺名前知ってる奴そらるとAしか知らねぇんだけど()
まぁ、それは屋敷の使用人が多すぎるのが原因だ。
あと、あの二人しか俺らに近づけないようになってるし。
……っていうことは、そらるかAのどちらかがセンラの………?
う「……そらる?」
せ「………」
う「………A?」
せ「Σ(゚Д゚)」
……こいつ分かりやす()
う「そっか、Aかぁ……良いと思うよ、俺は」
せ「………え、」
う「んぇ?Aじゃないの?」
せ「えっ、いや、うん、そうやけど……って、あ」
お、こいつ認めたぞ、証言ゲット。
センラはちょっと赤くなって、「でも、」と言葉を続けた。
せ「やっぱり自分がキモイわぁ……相手男やし」
う「……またそうやって振り出しに戻んのかお前は。そんな中途半端なら、本当はAのこと好きでもなんでも無いんじゃねぇの?」
せ「っ、そんなことあらへん!俺やって本当にAのこと好きや、し………」
センラは拗ねたように口を尖らせると、顔を耳まで赤くした。
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kne(プロフ) - 続き楽しみです。 (2021年9月14日 0時) (レス) id: ee34aec55d (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - リスさん» リスさんなんですね!私はこたぬですが基本的に箱推しです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ぱるむさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 ありがとうございます! 今リメイク版を作成している最中なので、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ランデブーさん» ありがとうございます!そう言ってもらえてとても嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
リス - 私も志麻リスです! (2021年6月24日 22時) (レス) id: 016461b9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よる | 作成日時:2020年7月30日 16時