お兄ちゃんですから ページ20
浦田side
書斎に引きこもって読書をしていると、突然、ドアが勢いよく開いた。
うるさっ!
少しイラっとしながらドアの方に目を向ける。
俺の平和な読書を邪魔したのは、センラだった。
その顔は、いつもとは打って変わって慌てているような、どうしたらいいのか自分でも分からない、といったような表情だった。
しかし、そんな表情に相反して頬は紅潮している。
せ「う、うらたん、俺、俺……」
う「……次からはノックしてから入れよ、、、で、どうした?」
俺が座っている隣の椅子を指差すと、センラは覚束ない足取りで歩み寄り、力無く椅子に腰を下ろした。
………こいつが俺に相談しにくるなんて、珍しい。
まーしぃとか坂田とかからの愚痴は、今まで耳にタコができるほど聞いてきたが、センラは初めてだった。
意外と溜め込みやすいからなぁ、こいつ。
そんなセンラが俺のところにきたのは、きっとよっぽどのことがあったからだろう。
一応こいつらの長男なんでね、弟ちゃんの悩みの一つや二つぐらい聞いてやりますか。
それで、俺はセンラが話し出すのを待った。
センラは、呼吸を整えて、落ち着いてから俺の方を見た。
せ「うらたんは……恋とかしたことあります?」
ぶっ!!!
と、突然の爆弾発言に吹き出しそうになる。
いや、ガチで()
は?恋?…って、あれか、誰かを想うってことだったよな……?
う「いや、ねぇな」
いわゆる「初恋」とかの記憶すらない。
………多分。
あれ?初恋って経験したことあったか俺?無いよな???
考え込んでしまった俺を横目に、センラは自分を落ち着かせるかのように溜息をついた。
せ「まぁ、そうやろうとは思ったけど、俺も無いし」
う「……で、結局お前は何を言いたいんだよ」
まさか、恋愛したことないからしてみたーいっていうしょうもないことじゃないよな?
そんなんだったら今すぐここから退場させるけど。
かくいうセンラは、俺に何を言えばいいのか迷っているようだった。
視線をあちこちに彷徨わせ、やがて決心したかのように、再び俺の方に顔を向ける。
せ「俺…………恋、したかも」
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kne(プロフ) - 続き楽しみです。 (2021年9月14日 0時) (レス) id: ee34aec55d (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - リスさん» リスさんなんですね!私はこたぬですが基本的に箱推しです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ぱるむさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません汗 ありがとうございます! 今リメイク版を作成している最中なので、もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - ランデブーさん» ありがとうございます!そう言ってもらえてとても嬉しいです (2021年7月4日 12時) (レス) id: 79c7e82e9a (このIDを非表示/違反報告)
リス - 私も志麻リスです! (2021年6月24日 22時) (レス) id: 016461b9aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よる | 作成日時:2020年7月30日 16時