となりの相楽さん【銀魂】

その３ ページ3

「す、すまねぇ…どうやら酒が強すぎた様だ…」


「心配するな、こう見えても拙者はなんでも屋。どんな依頼でも承る、"すーぱーまん"でござるよ！」


肩を貸しながらもそう嬉しそうに語る男に、天人はフッと笑った。


(そうか、この男は俺が恐るべき男じゃないのか)


つまり、この男は店主が言っていた"万事屋"の方だ。最初は赤黒い髪に木刀という条件が一致していて驚いたが、恐らくこの男とは別人だろう。そもそもこんなに愛想も人も良い男が人を殺せる訳がない。



そう天人が思っていた、その時だった。



「……"天人殺し"の相楽(さがら)と見受けする」


「！」


――後ろから聞こえたそんな声に振り向くと、そこには数人の天人が居た。しかもよりによって戦闘民族系の天人である。


「今やあの春雨にも首を狙われている不届き者が…仲間の恨み、今ここで晴らさせてもらう。」


「その首、我々がもらったァァァ！！」


そう叫ぶと、デカブツの天人達は一斉にかかってきた。


まさかの事態に、相楽に助けられていた天人は困惑する。


(な、なんだ……天人殺し！？天人殺しっつったか、あいつ等！？



じゃ、じゃあやっぱりこの男は万事屋なんかじゃなくて……ッ、)


嫌な予感に、青い天人は思わずダラダラと冷や汗を流す。

だがそんな事を気にする事もなく、相楽は腰に挿していた長い木刀を抜いた。



「やれやれ……


今日ばかりはコレを、抜かせないでほしかったでござる」



――後日、第4師団春雨直属の部下(計15人)が重傷状態で路地裏にて発見された。



……そしてあの青い天人は、その事件の後事情聴取を受けるも『言ったら絶対に殺される』などと言い残し、すぐさま逃げるように故郷に帰っていったらしい。

第一訓『人間の裏なんて見るモンじゃない』→←その２

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