5 ページ5
「練炭の一家心中！？」
何をそんなに驚くことがあったのかメガネくんは異様なくらい驚いている。
『…解剖のせいでついにおかしくなった？』
「…さあ」
隣にいたミコトにこそっと声を掛けるけれどどうでもいいとすぐにまた歩き出してしまった。
「今朝早くこの新聞受けに手紙が貼っているのを配達員が発見しました。
書いたのはこの家の家主、佐藤正一。
通報を受け駆けつけた警察が中に踏み込んだところ、十畳間に家主の佐藤含めた四人が倒れており、全員すでに死亡していました。
四人とも肌がサーモンピンクに変化しています。
一酸化炭素中毒の特徴ですよね？」
「ですね」
「遺書もあるし、まあ状況から見て練炭で間違いないかと」
まあ毛利さんが言っていることは間違いないだろう。
──── でも相手はミコトなんだよなあ
「検死官が来られないからうちを呼んだんですよね」
「まあ一応」
「でしたらきっちり調べてから判断しますね」
『そうだね、よろしくお願いします』
顔がひきつっている毛利さんを無視して遺体に目を向けた。
『ん？ねえミコト、この人手首に傷がある』
「本当だ、何かに縛られていた痕かも」
「物騒なこと言わないでくださいよ」
「これは切り傷ではなく擦り傷です」
『なにかに片手を縛られていたってところかな』
ブーブーっとポケットの携帯が震える音がした。ため息を吐きながらそれを取り出す。
『、げ』
「？誰ですか」
私の反応を不思議に思ったらしいメガネくんに着信相手を見せると「ああ」と理解したように呟いた。
『もしも、』
「おい今どこにいる」
『どこって現場ですけど』
「すぐに戻って来い」
『え、いやちょ…切られた』
何度目か分からないため息をつくとまた久部くんがこちらを向いた。
「戻られるんですか？」
『んーちょっとね。
ごめんミコト、呼び出しくらった』
「了解」と告げたミコトを背に、まだ練炭の匂いが染み付いたこの部屋から足を踏み出した。
────────────
「久部くん、気にしすぎ」
「…すいません」
そんな会話が起こっていることも知らずに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 628人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんず。 - 総コードじゃなくて、水の硬度じゃないですか？あと、亜州酸じゃなくて、亜硝酸だと思います。貯水地に含まれる成分なので (2018年1月28日 17時) (
レス) id: 7a53a4dd7e (このIDを非表示/違反報告)
杠(プロフ) - 今、アンナチュラルにどマりしているところ、の小説は嬉しいです！と少し気になったのです美澄ミコトではなく、三澄ミコトだと思います！！これからも楽しみにしています！！ (2018年1月28日 10時) (レス) id: 7c452d0c7b (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - ポメさん» ありがとうございます！とっても嬉しいです（；_；）これからもよろしくお願いします！ (2018年1月25日 21時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - 若菜さん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです！この先も頑張りますのでぜひ楽しんで読んでください！！ (2018年1月25日 21時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
ポメ - すごい文才だなぁ。凄いなぁ。面白いです∧∧ (2018年1月24日 0時) (レス) id: 4385b4fd2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：佐伯
| 作成日時：2018年1月20日 0時
