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『お願い、出てっ、』
鳴り続ける通信音に、焦りが増していく。
「…なんだ」
『っ、中堂先生！』
その低い声に胸に広がるのは安堵感。
「てめえ今どこにいるんだ」
『っ、茂山市蝶塚から車で18分のところにいます。
久部くんと一緒にトラックの冷凍コンテナに閉じ込められました』
「犯行現場か」
『そうです』
ラボを空けてまで勝手に捜査をしたことを怒っているのか、
いつもより声が低く感じる。
「スマホの現在地は？」
『あの充電がなくて…
電話するので精一杯です』
「なんでこんな時に」
『す、すいません…』
また、トラックが動き出す。
さっきよりもトラックの振動が激しくなった。
『きゃ、あ！』
「、黛さんっ」
もの凄い勢いでトラックがいきなり傾く。
思わず体が飛ばされる ────
そう思って目を閉じた時、何かに包まれた。
『久部くん、』
私の下敷きになるように地面に久部くんが叩きつけられた。
『久部くん、大丈夫！？』
「っ、う、はい…」
「おい、どうした」
そんな中堂先生の声も聞こえないまま。
横に倒れたトラックに足をつこうとした。
『あっ、冷た！
っえ？』
「黛さん、水！」
トラックの地面は水に溢れていて。
状況を察して、顔が青ざめた。
──── どこかに、飛び込んだんだ
『っ、久部くんキット！
カバン、取って！』
ミコトが持っていたキットを慌ててとりだすと、トラックに溜まっていく水に付けた。
「おい！
大丈夫か。
おい、返事しろ！」
久部くんが照らすライトでキットの結果を見る。
こんな状況でさえ、こんなことが出来るなんて。
──── 伊達に臨床検査技師やってない
「おい、黛！」
『当酸性窒素20mg
亜州酸性窒素1.5以上
っ、pH6.8
総コード120』
「は？」
『これしか分かりません。
トラックごと水に落とされました、！
お願いします、探してください』
もう、これしかない。
中堂先生を信じるしか。
「それだけ、
場所は分かるか？」
『っ、分かりません！
見つけてくれたら馬鹿でも何でも言っていいですから！』
どんどん溜まっていく水に、さらに体温を奪われていく。
──── はあ、やばい。
意識が、薄れてきた。
「っ、黛さんこれ！」
『大沼悟、！』
そう叫んだ瞬間、
虚しく響く通話が切れた音。
画面も真っ暗になってしまった。
お願い、中堂先生。
──── たすけて。
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あんず。 - 総コードじゃなくて、水の硬度じゃないですか？あと、亜州酸じゃなくて、亜硝酸だと思います。貯水地に含まれる成分なので (2018年1月28日 17時) (
レス) id: 7a53a4dd7e (このIDを非表示/違反報告)
杠(プロフ) - 今、アンナチュラルにどマりしているところ、の小説は嬉しいです！と少し気になったのです美澄ミコトではなく、三澄ミコトだと思います！！これからも楽しみにしています！！ (2018年1月28日 10時) (レス) id: 7c452d0c7b (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - ポメさん» ありがとうございます！とっても嬉しいです（；_；）これからもよろしくお願いします！ (2018年1月25日 21時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - 若菜さん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです！この先も頑張りますのでぜひ楽しんで読んでください！！ (2018年1月25日 21時) (レス) id: b9ebf906a3 (このIDを非表示/違反報告)
ポメ - すごい文才だなぁ。凄いなぁ。面白いです∧∧ (2018年1月24日 0時) (レス) id: 4385b4fd2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2018年1月20日 0時
