無くなったたくさんのもの ページ6
「おい！ふざけんなよ！」
さすがに学校に行ってないのもマズいだろうし、そろそろ増渕くん探しを諦めようかと考えていた時。
どこかで聞き覚えのある声が聞こえた。
馬鹿みたいな偶然も、起こるものなんだ。
ドラマみたいな展開に夢を見ているんじゃないかと自分の耳を疑った。
声の元に急いで向かうと、ずっと探していた彼の姿があった。
伊佐美くんが増渕くんの首をつかんで、まるで橋から落とそうとしているかのようにも見える。
『っ、増渕くん！』
私のそう叫んだ声に驚いてこちらを振り向いた２人。
伊佐美くんは慌てて手を離すとどこかに走っていってしまった。
「Aちゃん、！」と呟いた増渕くんもそれを追うように走り出そうとした。
行かないで、たったのその一言が喉で引っ掛かって出て来ない。
…情けない、情けなくて、仕方ない。
後悔するのなんて目に見えているのに。
どんどん離れていく増渕くんの背中が、ゆっくりと動きを止めた。
私たちの間に冷たい空気が流れる。
『、増渕くん…』
「…市橋は、」
『っ大丈夫、安心して。私ひとりだから』
私がそういうと少し安心したかのように軽く息を吐いた。
ゆっくりと、でも確実に、私との距離を詰めていく。
この前より疲れが溜まったような顔に胸が苦しくなる。
…私の、せいだ。
「ごめんねAちゃんにまで迷惑掛けて」
『迷惑なんて、そんなこと…私が誘わなかったら増渕くんだってこんなことには』
「ううん、俺は嬉しかったよ。ありがとう」
そう言って力なく笑う増渕くん。
増渕くんから笑顔が消えたのはいつのことだっただろう。あの事件以来、心の底から笑えているんだろうか。
たくさんの命だけじゃなくて増渕くんの笑顔さえも奪ったあの事件を、やっぱり許すなんて出来ない。
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狛犬のリサ(プロフ) - あーあ、やっぱり夢主はトビオじゃなくて市橋かぁ…けっ…作者は最高でドラマも最高だったし…トビオ落ちだったらもっともーっと最高だったのになぁ (2019年1月22日 2時) (
レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
みい - いつも楽しみにしてます！トビオおち分岐ありがとうございます！トビオと結ばれて欲しいと思ってたので嬉しいです (2017年9月27日 16時) (レス) id: 788e2e4591 (このIDを非表示/違反報告)
はる坊(プロフ) - この前はトビオオチが見たい！とコメントさせていただきましたが、正直私もどっちも見たいです。どちらも書いてくださるというお話すごく嬉しいです！！頑張ってください！！ (2017年9月2日 22時) (レス) id: 0e6de27daf (このIDを非表示/違反報告)
前田ちかね(プロフ) - 市橋くんオチがいいです！ (2017年9月2日 22時) (レス) id: f96c4eb485 (このIDを非表示/違反報告)
emu(プロフ) - 今日の回は昼顔っぽくて面白かったです！めっちゃ好きですこの感じの＞ω＜ (2017年9月2日 1時) (レス) id: 7e03b267ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年8月8日 18時
