おばあちゃんのおはぎ ページ30
「わざわざありがとう。お見舞いにまで来てもらっちゃって」
『いえ、そんな…』
あれからすぐに救急車を呼んで市橋くんと共に病院まで運ばれた。
手術中と赤く光るライトを見つめながら、何も出来ない無力な私を恨んだ。
[ Aちゃん、どこいったの？]
という増渕くんのメールにも返事を返す気力も湧いてこなかった。
何件もの不在着信も見なかったことにしよう。
そんなことを考えていた時、市橋くんのおばあさんがやって来た。
市橋くんと二人で暮らしているとか、色々な話を聞かせてもらって、少しだけ心が落ち着いた気がする。
「あの子にもいたのね。あなたみたいな素敵な人が」
『…そんなんじゃ、ないんです。私のせいで市橋くんは、』
「でもあの子は自分の命に代えてでも、あなたのことを守りたかったんでしょうね」
『、っ』
「それだけで少しは安心したわ。あの子のことよろしくお願いしますね。」
『…はい』
「それじゃあ私はお先に失礼するわね」
おばあさんに頭を下げると私に微笑んでから歩いていった。
どことなく、微笑んだ顔が市橋くんに似ているような気がする。
病室に戻ると窓に寄りかかって眠る市橋くんの横顔を見つめた。
この顔を見て、誰が矢波高校をまとめるトップに立つ男だと思うだろうか。
…でももう、トップじゃないんだよね。
市橋くんの瞼が少しだけ振動するとゆっくりと、でも確実に彼の目が開いた。
『っ、市橋くん！大丈夫！？痛い所は！？』
「…うるせえ、声でけぇよ」
『あ、ごめんね』
良かった、いつもの市橋くんだ。
たったそれだけのことなのにまた目頭が熱くなる。
市橋くんに出会ってから、泣いてばっかりだ、私。
「ばあちゃん来てたのか」
市橋くんは机の上にあるおはぎを見つめる。
「これ、あのこの好物だから」そう言って笑っていたおばあさんは、とても幸せそうだった。
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狛犬のリサ(プロフ) - あーあ、やっぱり夢主はトビオじゃなくて市橋かぁ…けっ…作者は最高でドラマも最高だったし…トビオ落ちだったらもっともーっと最高だったのになぁ (2019年1月22日 2時) (
レス) id: 3d96b1b6a9 (このIDを非表示/違反報告)
みい - いつも楽しみにしてます！トビオおち分岐ありがとうございます！トビオと結ばれて欲しいと思ってたので嬉しいです (2017年9月27日 16時) (レス) id: 788e2e4591 (このIDを非表示/違反報告)
はる坊(プロフ) - この前はトビオオチが見たい！とコメントさせていただきましたが、正直私もどっちも見たいです。どちらも書いてくださるというお話すごく嬉しいです！！頑張ってください！！ (2017年9月2日 22時) (レス) id: 0e6de27daf (このIDを非表示/違反報告)
前田ちかね(プロフ) - 市橋くんオチがいいです！ (2017年9月2日 22時) (レス) id: f96c4eb485 (このIDを非表示/違反報告)
emu(プロフ) - 今日の回は昼顔っぽくて面白かったです！めっちゃ好きですこの感じの＞ω＜ (2017年9月2日 1時) (レス) id: 7e03b267ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐伯
| 作成日時：2017年8月8日 18時
