18 ページ18
「マンホール1号、事故の傷はなし」
「あと1999個」
スマートフォンのアプリを押すと済という文字が画面に現れた。
…あと1999個か、
途方もない作業だな…。
「これ何ヶ月かかるんですかね」
『まあ！
二個目が事故現場かもしれないし！』
ね、久部くん！と声を掛けると視線をさまよわせた。
「ねえこれ六郎が作ったの？」
「はい、市役所から貰ったマンホールの場所をマップに重ねました。
確認したマンホールのOKを押せば潰して行けます」
「やるじゃーん！」
「うちの六郎、有能なんですー！
ね、A！」
『え、あ、うん』
久部くんと目が合うけれど気まずそうに逸らされてしまった。
意識しすぎているのがきっと久部くんにも伝わっているんだろう。
──── 六郎、か
「あっ、秋ちゃん！」
そのミコトの声とともに走ってくる背が高くてすらっとした男の子。
「ありがとね来てくれて」
「夜には校舎行かなきゃいけないから、それまでね」
『あ、秋彦くん久しぶり！』
「ああ！Aさん！」
秋彦くんは一度だけ酔っ払ったミコトを連れ帰るために来てくれて、会ったことがあった。
すごく優しくていい弟さん。
ふと振り返ると私と秋彦くんをキョロキョロと見る久部くんがいる。
「あ、秋ちゃん。
予備校で働いてる私の弟」
「…弟、」
「姉がいつもお世話になってます」
「あれ？
Aはなんで知ってんの？」
『え、それは…』
完全に記憶を無くすまで飲んでいたミコトは全くなにも覚えていなかったようで、秋彦くんが迎えに来たことも知らなかった。
秋彦くんは自分が来たことをミコトが知ったら申し訳なく思うだろうからと今でもそれは二人だけの秘密になっている。
ミコトは私が家まで送ったと思っているらしい。
『秘密だよ、
ね、秋彦くん』
「はい」
「え、なに！
秘密ってなに！」
ふと久部くんを見ると気まずそうに俯いている。
──── 盛り上がりすぎてしまっただろうか
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 771人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう - 素敵な小説ありがとうございます。続編楽しみに待っております！ (2018年3月17日 16時) (
レス) id: e85ad242c1 (このIDを非表示/違反報告)
あーぽん - めっちゃ面白いです！木林さん好きなので次がきになります！ (2018年3月17日 12時) (レス) id: 54c07bea64 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - アイリスさん» はじめまして、ご指摘ありがとうございます。誤字を訂正させて頂きました。お手数お掛けしすみません。これからも檸檬のなみだを宜しくお願いします！ (2018年3月4日 16時) (レス) id: 2d039b8cab (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませていただいています。誤字報告、ご指摘をさせていただきます。8の「激を飛ばす」は「檄を飛ばす」が正しいです。また「檄を飛ばす」という表現よりも「不満を漏らす/零す」が適切だと思います。出すぎた真似でしたらすみません。 (2018年3月3日 22時) (レス) id: 2bfa349df7 (このIDを非表示/違反報告)
佐伯(プロフ) - にしじまさん» 初めまして！コメントありがとうございます（；_；）なんて嬉しいお言葉、、がんばります！！！ (2018年3月2日 13時) (レス) id: 2d039b8cab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：佐伯
| 作成日時：2018年2月20日 23時
