第108話 ページ9
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移動中のバスの中で、一星は険しい顔をして仕掛けのスイッチを握りしめていた。やってやると決めたはずなのに、いざその時が近づくと息が荒くなる。
顔色の悪い一星を見て、Aはそっと彼の手に自分の手を重ねる。
「…充。やっぱり私がやろうか？」
耳元で囁く彼女の声に首を大きく横に振り、一星は忌々しい赤色のボタンを睨み付ける。
Aは悲しそうな顔をすると、そっと彼から身を離した。
「バスはもうすぐカーブに差し掛かる。事故を起こすなら、ここか。」
一星は前を見つめると、恐る恐るボタンに指をかけた。
「大丈夫か、一星？…何か顔色悪いけど、車酔いか？」
間一髪のところでからに声をかけたのは明日人だった。そして、明日人に続き、つくしと剛人も彼を気遣う言葉をかけた。
「酔い止め飲む？」
「ほら、吐くならこれにしとけ。」
しかし一星は、彼らに向かって「放っておいて下さい」とぶっきら棒に言い放つと、目を閉じて窓にもたれかかった。
心配そうに顔を見合わせている3人を見て、Aがにっこりと愛想の良い笑みを浮かべた。
「大丈夫、この子は私が責任持って様子見るから。
…お気遣いありがとう。」
相変わらず、人形の様に綺麗な笑顔だったが、最後のひとことを述べた時の彼女の顔は、人間味を帯びた優しい表情だった。
そんな彼女の変化に気付いたのか、明日人は一瞬何か言いかけたが、咄嗟に目を逸らした彼女を見ると、黙って前へと向き直った。
一星は、とんだ邪魔が入ったと眉間に皺を寄せていたが、次のカーブでは実行せざるを得ない犯行を思うと更に息が荒くなる。
「…光の命が掛かっているんだ。あいつらは所詮赤の他人。どうなろうと、知ったことじゃない！迷うことなんて無い！やれ、やるんだ…！やってやる…！」
一星は必死な思いで自分にそう言い聞かせると、再び赤いボタンに指をかけた。
「一星、本当に大丈夫かよ？」
彼が閉じていた目を開けると、視界いっぱいに剛人の顔が広がっていた。それに驚いた一星は、思わず手に持っていたスイッチを落としてしまった。
それを見たAがギョッとした顔をし、拾おうと手を伸ばした時、剛人が席から立ち上がりスイッチを思いっきり踏みつけた。
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エル(プロフ) - かなりさん» かなりさん、初めまして。嬉しいお言葉ありがとうございます…！！頑張って完結させますのでこれからも宜しくお願いします。 (2020年5月23日 21時) (
レス) id: 48e524db4d (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 私は、この小説が大好きです！！ずっとこの小説のコメントが書けなくてごめんなさい。でもこの小説はドキドキしながら読んでいます！これからもずっとこの小説を最後まで続けて欲しいです！！これからも体に気をつけて頑張って下さい！ずっと応援しています！ (2020年5月23日 21時) (レス) id: d3ceb655af (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - かなえさん» ご感想ありがとうございます！返信遅れて申し訳ありません(/ _ ; )嬉しいお言葉を頂けてとても励みになります！今後も宜しくお願いします。 (2020年2月17日 18時) (レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - 名無しのりんごさん» 名無しのりんごさん、ありがとうございます！返信遅れて申し訳ありません(/ _ ; )諸事情で更新頻度落ちてるんですけど、必ず完結させますんで今後も宜しくお願いします！ (2020年2月17日 18時) (レス) id: 399e3550ff (このIDを非表示/違反報告)
かなえ - 私は、超語彙力がないんです！うらやましい！すごく面白かったです！シリアス展開で、ボケ要素少なめの真剣な感じで、なんかこう……ビリビリきました！ずっと応援しています！ (2020年1月11日 21時) (レス) id: a03bb62dba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニーナ | 作成日時：2020年1月4日 18時
