121 < Side O > ページ23
決まって金曜の仕事帰りに櫻井翔がバーに立ち寄ることを掴んでいた俺たち。
最初のアプローチは確実に接触出来る金曜日の夜にした。
そしていよいよ今日が決行の日だ。
「来たっ」
櫻井翔がバーの中へ入って行くのを確認した。
「じゃあ、行って来る」
「うん、何かあったらすぐ電話して」
「分かった」
バーから少し離れた路上に停めていた車から降りようとすると、運転席のまーくんが後部席に向かって左手を伸ばした。
「頑張って」
「ありがとう」
俺たちは固い握手を交わした。
櫻井翔に遅れること五分。
一人で入店した俺はカウンターにその姿を見つけた。
櫻井翔はガタイのいい男と話をしていたが、どうも様子がおかしい。
すごく迷惑そうな顔をして男を邪険に扱っていた。
友達ではなさそうだ。
だったらただの顔見知り？
俺は少し離れたテーブル席に座りカウンターの様子を見ていたが、何もオーダーしないのは不自然だ。
取りあえず何か頼もうと思ったその時。
「あれぇ？
見ない顔だけどもしかして初めて？」
さっきのガタイのいい男が俺の隣に慣れ慣れしく座ってきた。
「アンタ一人？」
「そうですけど」
「だったら一緒に飲まない？」
「いえ、結構です」
面倒臭い男をピシャリとあしらう。
もしかして櫻井翔もこの男にしくこく付きまとわれていたのかもしれない。
「いいじゃん！俺と一緒に飲もうよ〜」
店内に響き渡る大声で男が絡んできた。
それに気付いた櫻井翔がこちらに振り返った。
俺の計画ではもっと強面のガラの悪い男を想定していた。
そんな男に絡まれたほうが印象に残りやすいから。
でもその前に櫻井翔に気付かれてしまった。
だから俺は瞬時に計画を変更する。
想定していた人物像より見劣りするが、この男を利用してやろうと。
「やめてください」
途端にオロオロした弱気な態度を取り、嫌がってるフリをする。
「そんなこと言わないでさ〜。
もしこういう店が初めてなら俺が手取り足取り教えてあげるから」
「本当に困ります・・・」
少々オーバーに怖がる素振りを見せた。
傍から見れば、か弱いウサギとそれを狙うオオカミ。
これなら櫻井翔に俺という存在を印象付けられる。
最初のアプローチとしては悪くないだろう。
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きよ(プロフ) - なつさんお疲れさまです。智くんと翔くんの生い立ちもですが、こんな用意周到に計画を立て実行する智くんに驚きです。でもやっぱり翔くんと出会ったら変わりますよねぇ。ましてやヒーローですもんね。智くんの心の変化を楽しみに待っています。 (2021年10月3日 8時) (
レス) @page24 id: 6c6ffed641 (このIDを非表示/違反報告)
みい(プロフ) - なつさんこんにちは！お言葉に甘えて早速きました！更新ありがとうございます！今回の智くんになんだかすごく安心しました^ ^計算だけでなくこれからは本当に翔くんと友達になりたくなるのかなって。この翔くんの登場には誰だってドキドキしますよねー‼︎^ ^ (2021年9月27日 14時) (レス) @page24 id: 4b882d58ca (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - はるさん» はるさん、こんばんは！切れ者の智くんですがこれから計画を実行することになります。でもそこには思わぬ落とし穴もあって・・・。いよいよ最終局面です。二人の行く末までどうかお付き合い下さいね！ (2021年9月26日 22時) (レス) id: 42fc626692 (このIDを非表示/違反報告)
なつ(プロフ) - みいさん» みいさん、こんばんは！コメント大歓迎ですよ〜。やる気が出るし励みにもなりますから♪感想を読んで次回の参考にすることも多々あります。本当にいつも熱心に読んでもらえて感謝感激です。最後までどうか見届けて下さいね。 (2021年9月26日 22時) (レス) id: 42fc626692 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - なつさん、こんにちは😃なかなかの切れ者智ちゃんですね。２人の心情が複雑になるんだろうなぁ…。楽しみです！ (2021年9月25日 14時) (レス) @page22 id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつ
| 作成日時：2021年8月23日 23時
