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ずっとAに会ったあの時から、目を閉じれば彼女との思い出が頭をよぎっていく。アイツは今、何をしているのだろうか。
熱はもう引いたか、まだ拗らせているのかもしれない……。
もしかしたら、一人っきりで泣いているのかも。……いや、神威といるのかもな。
ずっと一緒に居られるなど、あり得ないのだ。逢うは別れの始め。必ずしも、出逢いには別れが存在する。
死別か離別か……。その、二択のどちらかしかない。
いずれ道を別々に歩いていく可能性があることを考えていない訳ではなかった。信じたくなくて、見えもしない未来を信じていたのである。
携帯を開き、中に保存している写真を見ていく。そこには遊園地で耳の飾りをつけて二人並ぶ写真が保存されてあった。
Aは綺麗に笑って、ピースをしている。そんな彼女を指でなぞり、他の写真も見ることにした。
水族館、温泉旅行、海、花火……思い付く限りのところへ、二人で出かけたものだ。
どこが一番楽しかったのか分からないのは、どれも楽しくて決められないからである。
少し遠くへ旅行した時、写真立てが作れる工房へ寄ったことがあった。相手の写真立てを作ることになり、彼女は妙に可愛らしい物を作ったのだ。
それはどうしてか、零した記憶がある。
「部屋に飾ってくれたら、私がいるって分かるじゃないですか」
その時は、俺が寂しくないようにするためかと思っていたが、もしかしたら……と、今なら思う。
不意に、手にしていた携帯が震え出した。ディスプレイには彼女の名前が映って、電話が来ていることを伝えている。
俺はゆっくりと深呼吸し、携帯を耳に当てた。
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美空 - 完結おめでとうございます!とても素敵な作品でした!これからも楽しみにしてます! (2017年8月29日 2時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ジュリさん» 最高ですか!! ありがとうございます! とっても嬉しいです! あんまりイチャコラを書かなかった作品ですが、ジュリさんがそう言ってくださったのなら良いです! 閲覧とコメントありがとうございました (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます! 淡々とした夏休みの小さな暇潰しにでもなってくださったら嬉しいです( ´ ∀`) 新作の沖田は甘々ですが、こちらでは書かなかった甘い沖田を書いているので閲覧よろしくお願いします!! (2017年8月19日 11時) (レス) id: 677c22d7bd (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - あぁ最高です! (2017年8月18日 13時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - 凄く良かったです!夢中で読みました!新作も読ませていただきます!!! (2017年8月17日 23時) (レス) id: 12c1829223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年7月25日 11時