470.あなたSide ページ48
「もう…別れよう?
しんどくなっちゃった」
「嫌や」
彼は強い目と声で
淀みなくまっすぐに拒否した
その気迫に負けそうになる
・
嫌な女になろう
面倒くさい女と思われるように
優しい彼が
別れてよかったと思うように
そう心に決めてここまで来たのに
顔を見たら
好きが溢れて止まらない
・
「じゃあどうして…あんな写真…」
必死に愚痴を絞り出す
誤解なんて全くしてないけど
悲しい気持ちにはなる
ずっと
ずっと
寂しくて
苦しい
「ほなお前は
なんで俺には何も教えてくれへんねん
淳太君とか流星が当たり前に知っとる事
俺には何一つ話さへんやんけ」
照史は照史で
ずっと
ずっと
不安で苦しんでる
初めて私に
その不安をぶつけてきた
「そんなに俺が信用出来ひんのか」
「違う!」
「何が違うねん!」
彼との初めての口喧嘩
止まらない苦情は
溜まりに溜まった彼の心の痛みだった
「俺は何度も、
何度も何度も何度も言うてるよな?
Aが居るだけで幸せやって」
「…」
「俺に幸せになってって言うくせに
離れようとするん?」
「…それは」
「よぉ別れようなんて言えるな
俺の事なんてホンマはどうでもええんやろ?」
「そんなことない!」
「ほな、なんで俺だけ何も知らへんねん!
俺はお前の何なんw」
何も言えない
だって
お互い気づいているから
この口論に意味は無いと
私が照史に話さない理由は
彼が一番良く知っている
あの写真は
ほんの数秒の時間を切り抜かれただけ
ちゃんと分かっている
でも
溢れてしまった彼の心の不安と不満は
口にしたら止まらない
「幸せになってって言うくせに
俺の幸せ奪っていくんやな!わけわからんw」
彼の言葉が刺さる
矛盾する事をしてきた自覚はある
いつかは離れなきゃ行けないって
最初から分かっていたのに
今回の事で
更に濃く深くなったのに
照史の事が好きで
大好きで
彼の隣にいたくて
少しでも長く恋人で居て欲しくて
なかなか手を離せなかった
自分の気持ちを優先した事で
更に傷つけてしまった
私は昔から
気持ちを伝えるのも
相手の気持ちを汲み取るのも下手
人と関わるのは苦手って分かってたのに
彼を一番傷つけてるのは私
最低だ
重ねた時間が長いほど辛くなるって
分かってた癖に引き伸ばした
怒鳴られて当然だ
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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年6月8日 10時