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464. ページ42

「またパパラッチ来たんか」

「うん」

「それ、照史に言うたんか?」

「言うわけないじゃんw」

「ちゃんと伝えろや」

「やだね」





そのタイミングで
酒と少しのつまみが届く

この店は最初の注文以降
呼ばない限りは誰も来ない





2人でグラスを当てない乾杯

なんだか懐かしい

Aは酒飲みだって忘れかけてた

こんなメニューの無いバーでも
抜かりなく食前酒を注文する程に
酒にも詳しい

照史と付き合うずっと前から
美味しいカクテル飲みたくなった時
2人でよくバー巡りしたな





「このくらいなら言うてもええやん」

「このくらいなら
 言わなくてもいいじゃんw」





短く笑いながら答えると
クイッと飲み干して
新しいカクテルを頼む



前々から気になってたけど

大量に薬飲んでる癖に
こんなに飲んでええん?

照史の家に来たときも泥酔してたらしいし
今日やってそこそこ酔っ払ってるよな



「お前さ、薬飲んでるのに
 酒のんでええん?」

「知らない
 ちょっと回りが早いけど」

「アカンやつやんけ」

「今日は飲みたいの!
 淳太くん付き合ってよね!」

「飲みすぎんなよ」

「わーかってる!
 ちゃんとホテル帰れるように飲む!」





明るく話してるけど
ふとした瞬間に悲しげな表情になる

2人になって
気が緩んだんかな

彼女の中の俺の立ち位置は変わらない
それは嬉しくもあり
不安でもある




「あ、そうだ
 淳太くんに謝らなきゃ」



突然の言葉に
俺は全く心当たりが無い



「何の話や」

「みんなを守るなんて私には出来ないや
 こんな一般人に何が出来るのってw」



ライブのDVD
頑なに見ようとしなかったのに

あの日1人で見ていたと
照史が言っとったな



「みんなキラキラしてた…本当に
 凄かった

 大勢に生き甲斐を与えてる
 誰でも出来る仕事じゃない」





グラスを見つめながら
思い出しながら話している




 
「神様みたいなみんなを
 私みたいな一般人が守れるわけない」

「そんなことない
 もう守ってるやん、俺達の事」





神様なんて大袈裟な

お前が誰にも話さず1人でずっと耐えてる事は
守ってると同義や





「私は歓声を止める原因になるのが怖い

 私は逃げるだけ。無責任でゴメンね

 だから淳太くんも
 私のこと守らなくていいからね」





俺が割に合わないから
守らなくていいと

寂しい空気を全身に纏って
笑って話す彼女

割に合わないかどうかは
俺が判断すんねん


俺は…お前を守りたい

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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年6月8日 10時

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