458.沙耶Side ページ36
Aちゃんは
ずっと料理を作っている
たまにテーブルで
みんなと話しているけど
その時間はあまりにも少ない
気になってキッチンへ行くと
大皿に料理を盛り付けていた
「美味しそう！食べてもいい？」
「いいよ！」
「…美味しい！」
「よかった〜！
はい、おつまみ追加！これで終わり！」
そう言って料理を運ぶと
空いた食器を回収して戻ってきた
「働きすぎ！」とお皿を奪って
食洗機へ入れると
「ありがと」と笑った
冷蔵庫からチューハイを取り出して
「一緒に飲も！」と渡して
2人で乾杯をする
・
報道が出てから初めて
Aちゃんに会えた
開口一番謝罪をすると
心底不思議そうな表情になって
「沙耶ちゃんは何もしてないじゃん！
謝っちゃだめだよ」
と微笑んで抱きしめてくれた
・
久しぶりに会ったAちゃんは
前より痩せていて
変わらない笑顔と反比例するかのように
体力が落ちてるように見えた
体調が良くないのは
照史から聞いていたけど
なんだか
凄く嫌な予感がして
声を掛けようとした同じタイミングで
照史の笑い声が聞こえてきた
お祝いムードでフザケながら酒飲んで
仲間とケタケタ笑っている
そんな照史を
優しい笑顔で見つめるAちゃん
「照史、ずっとアイツらと居るね
呼んでこようか？」
いくら自分の誕生日だからって
彼女放置で友達と延々飲み騒ぐって
バカじゃないの
いつでも会えるじゃん、そこら辺とは
彼女が纏う寂しいオーラが分かんないのかよ
「ううん、大丈夫
照史が楽しそうで嬉しい」
ほら出た
そんなの駄目だっての
「ねぇ、何度も言ってるけど優しすぎるよ
甘やかすのと優しいのは違うからね？」
「え？w」
「照史に怒ったことある？」
「んー…無いかも
完璧だから、怒る事がない」
「そぉんな訳ないじゃん！
私なんて、海ん中でも照史に文句言ってるのに！
無駄に細かくて無駄に大雑把！」
「海の中でも？w」
「照史はAちゃんに甘えすぎ！
Aちゃんは照史を甘やかしすぎ！」
そう声を荒げる私を見て
クスクス笑っているのに
隠せない程の悲しさが滲んでいる
「今回の事でもAちゃんの事怒鳴ったんでしょ？
信じられない
彼氏なら彼女守れっての！」
「ﾌﾌﾌ」
「笑い事じゃないよ！
怒らなきゃ駄目だよ、本当に」
「でも…矢面に立たされて一番しんどいのは
照史だから」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 96人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：向日葵 | 作成日時：2022年6月8日 10時
