446.橙side←タイトル追加のみ ページ24
彼女から「世界一格好いいの!」
って言われたあの日から
2週間程経った、とある日の楽屋
今日は俺と淳太君と流星で取材
3人で早めの夕食弁当を食べていると
スタッフに俺だけ呼ばれて入口に向う
直後に「照史ぉー!電話!」と叫ぶ流星
目を向けると俺のスマホが鳴ってる
「ブルブルうるさいねん」
画面を覗いた流星が
タップしてスマホを耳に当てる
「もしもーし!
照史は今、仕事中やでぇ」
アイツ!勝手に出よった!
甘ったるい喋り方…
相手はAやなって思った直後
流星の表情が途端に厳しくなる
「…どないしたん」
「……は?」
「やから!何があったん!」
少し大きい声を出した流星に
全員の視線が集中する
気付いて小声で話し始めたけど
険しい表情は変わらない
気になってしゃーない俺は
早々に切り上げて流星の所に向う
「勝手に出んなや!」
スマホを奪い取って耳に当てると
彼女のすすり泣く声が聞こえた
「どないしたん」
「照史…いつ帰ってくる?」
「今日はラジオやから
てっぺん余裕で超えるで…って」
ん?帰って…くる?
「え?俺の部屋におるん?」
俺の声に「はぁ?」と反応したのは淳太君
あの日から変わらない周囲の状況は
Aはもちろん知っているし
撮られないように
誕生日まで我慢すると言ってたのに
俺どころか
流星にも淳太君にも連絡せずに
俺の部屋に居る…?
「どないしたん 何かあったん?」
「ちょっと…会いたくなっただけ」
そんな訳ないやんけ
何かあったのは明白なのに
今日は仕事で埋まっていて身動取れない
楽屋のカレンダーを険しい顔して見ていた流星が
マネージャーの所へ走った
何があったのか聞き出そうとするけれど
「会いたくなった」
「顔が見たくなっただけ」
を繰り返す
淳太君も怪訝な顔して
俺とAの会話を聞いている
その時、戻ってきた流星から
「1時間だけなら時間取れるって
姉ちゃんに会ってこい」
と言われた
訳がわからない俺と淳太君とは違って
流星は若干焦っているように見える
「今からピッタリ1時間なら
居れても30分が限界やな
はよ行け、聞き出してこい」
瞬時に計算した淳太君
俺の荷物を押し付けながら
「怒鳴るなよ」と呟く流星
何もかもが突然で混乱してるけど
単純にAに会えることが嬉しくて
「スマン、ありがとう」と伝え
出口に向かって走った
96人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:向日葵 | 作成日時:2022年6月8日 10時