三話 ページ7
結局のところ、彼女の強い押しに耐えきれず、なんとか方法を考えてみるよと絞り出すように告げた。
彼女は嬉しそうに跳ねたが、私の心は曇天模様である。誰が嬉しくて恋人に女を紹介するんだ。馬鹿野郎が。
だが、彼女に悪意がないのはわかっている。私から魈をせしめる気は微塵もないだろう。
明日にはいつものように贈り物をしに、魈がやってくる。私の気持ちは憂鬱そのもので、どうしたものかと頭を悩ませた。
自分の密かな思いより、燃えるような純粋な恋心が眩しくて、なんだが胸の内側が鉛にでも包まれたように重い。
「……突き放されればいいのに。」
身の程知らずだと、魈に辛く振られればいいのに。
なんて考えて、私はハッと頭を起き上がらせた。
…なんてことを考えるんだ、私は。そんなの、彼女が傷付くのは目に見えてわかることじゃないか。
胸の内によぎった感情が自分のものとは思えないほど重々しく暗く、これは塞がないといけないと、頭で察した。
「まぁ、だからですね。今度その茶屋の女の子に会ってもらえないかな、と。約束してしまった以上、少しは…。」
今日は驚きのバトルトゲウオを持ってきた魈に私は尻込みしながら茶屋での一件を告げた。
魈の態度など顔を見なくともわかる。不機嫌である。
それもそうだろう、魈は璃月港にいくことをあまり好んでいない。その上、その中で特定の誰かと過ごせと言われたらいくら岩王帝君の命令であったとしても受け入れ難いだろう。
それを、あろうことか恋人である私に言われたのだ。…しかも、会う理由はお礼がしたいとかそんなんじゃなく、逢瀬。恋した相手に会いたいというものなのだから、なお不機嫌になる。当たり前だ。
「……………はぁ。」
しばらく溜めて、溜めて吐き出されたため息は重さこそ含んでいなかったが、私の心には重くのしかかった。
その次の言葉が怖くてたまらず、今すぐ耳を塞ぎたいと思ってしまう。こんなことなるなら、恋人だと宣言した方が楽だっただろうか。即決できない優柔不断さに、自分でも嫌になる。
「いくぞ。」
「ぁ、え…？！」
「茶屋まで案内しろ。我は場所を知らん。」
まさか了承されるなんて思っておらず。魈は呆れも口にせず、私の手を掴んで歩き出した。
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なぎ - ほんま神なお話！！なんかもう全てが尊い！！！一気見しました！これからも応援させていただきます！ (3月24日 9時) (
レス) @page8 id: 6ae8607e98 (このIDを非表示/違反報告)
書籍姫(プロフ) - Sukidesu…(尊さによって崩れ落ちる私の図) (11月26日 21時) (レス) @page8 id: e3ea7725f8 (このIDを非表示/違反報告)
えす氏 - ほんとに面白くて、何回も読み返しちゃいます！更新待ってます‼︎ (2022年12月23日 21時) (レス) id: 62d33eea18 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - ウﾞワﾞ…ッ!!(ｴｯてぇてぇ…！、?？)(情緒不安定)…えっ、えっ?？(てぇてぇの再確認)…ｳﾞﾜﾞｰ---ｯｯ!!!(好きですありがとうございます)(いつもてぇてぇと唐突なシリアスで心臓発作を起こしながら見てます。好きです。これからも応援してます!!長文失礼しました) (2022年11月18日 16時) (レス) @page8 id: 1aec65c647 (このIDを非表示/違反報告)
アイ(プロフ) - キュンです、続き楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2022年11月14日 1時) (レス) @page7 id: 11d3875155 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とりまろ。 | 作成日時：2022年11月13日 14時
