＊恋文7通め〔黒〕 ページ9
＿＿＿例えば…
「例えば、やで？」
『うん』
グラスを傾けながら、ほどよく酔った様子を確認して、君にこんな事を尋ねた事があった。
「キザに決めた感じと、いつもと変わらん感じ…女子がいざって時にドキっとするゆーたらどっちなん？」
突然の変化球に、100点満点のキョトン顔を
君にさせてしまったのは…致し方ない。
『どうしたの急に？笑』
「…あれやで？
今度舞台のプロデュース任されてんそれがまあコテコテのラブストーリーで俺参ってもうてさぁー」
『…ああ！舞台ね』
異常に早口に説明する俺に、状況を理解した風の君は、んーそうだなぁ…と、片肘をついて、律儀に問いかけに答えようと思いを巡らせる。
手元のグラスの氷が溶けて、カランと鳴った。
『人にもよると思うけど？』
……ごもっとも。
「こっちが演者なら演出家さんと相談するんやけど、こっちが指示するってなるとさぁ、、どんな告白やったら女子ウケすると思う？」
『女子ウケ狙ってんの？笑』
苦笑いを浮かべながら、君もグラスを傾ける。
『意外と、普通な感じがいいんじゃない？』
「普通？」
『……例えば、私くらいの年齢だと仮定するよ？そしたらそこそこ年齢重ねてるしさ、』
「…そんで？」
『そうなると結婚？とか意識するだろうし、理想のプロポーズってのもまぁ…あるっちゃあるだろうけど、』
両手持ちしたグラスの水滴が指に落ちて、
カランとまた、氷が鳴る。
『今更理想を追い求めてもねぇ、肩肘張らずにさ…普通が1番。』
「……そんなもん？」
『案外ね』
こっちにへらっと笑った顔を見せた彼女。
あれ？酔うてんのかな。
「意外やな。もっと…こう、ハードル高めの要求あんのかと思てたわ」
『ハードル高めって？』
「…ヘリチャーターして夜景を見ながら、とか」
『貴族か』
「ケーキの中に婚約指輪、とか」
『ドラマか』
「フラッシュモブで公開プロポーズとか」
『モニタリングか』
大倉ばりの気持ちいい笑い声をあげて
グラスを煽った彼女は、つまみに頼んだチーズを摘む。
「ヤッバ…ホンマ全然イメージとちゃうわ」
『よかったねーリサーチしといて』
「危っな」
『でも舞台はまた違うでしょ』
「いや、今回のはとことんリアル求めてんねん」
『…それって女子ウケするの？』
舞台までリアル無理…
とか言いつつガーリックの効いたアヒージョにぱくつく。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ruru - 青さんが素敵すぎて…！さてさて次！読みに行きます！ (2020年3月9日 0時) (
レス) id: f9edaffe54 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - ＳＣＣＳさん» お返事遅れてごめんなさい(T-T)ありがとうございます！！6通目の彼女には、私の中でのモデルさんがいるのですが、さて、誰だかわかるかなー？？？(▼ω▼) (2020年1月12日 21時) (レス) id: 5d604581ae (このIDを非表示/違反報告)
ＳＣＣＳ(プロフ) - 3通目の彼女、めっちゃ可愛かったー！男目線で読んじゃったわ。6通目も切なくていいねー！言うと思ったら、めっちゃブサイク！不器用な感じ切なくてキュンとしました！ (2019年7月6日 2時) (レス) id: 80da970007 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 葡萄さん» うひょ!!!!!!葡萄さん、身に余るお言葉...葡萄さんに褒められると天にも昇る程嬉しいよ！どうもありがとう!それにしても、私が架け橋を作るのと、葡萄さんが遭遇するのとじゃ、明らかに後者の方が早かろうwww (2019年2月26日 14時) (レス) id: 5d604581ae (このIDを非表示/違反報告)
葡萄(プロフ) - ココさん、前からコメントしたかったんだけど6話目すごいよかったよ！携帯のcmにもできそう。そっちの業界にチャレンジしてみては？！そんで業界への架け橋をつくり私に丸山を紹介してください。ではさよなら〜〜 (2019年2月23日 14時) (レス) id: 6313c329a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ココナッツ
| 作成日時：2018年2月28日 23時
